こんにちは!前のめり(@maenomelife)です!
今回は現行レンズきっての癖玉、宮崎光学のVARIO PRASMA 50mm f1.5についてご紹介したいと思います。
個性の強いレンズではありますが、私の中では一番出番の多いレンズでもあります。
VARIO PRASMAの仕様
レンズの物知り度 | レンズの希少度 | 描写の好み度 |
★★★☆☆ かなりマニアック | ★★☆☆☆ やや希少 | ★★★★☆ とても良いが難解 |
レンズ名 | VARIO PRASMA |
メーカー | MS-OPTICS(宮崎光学) |
焦点距離 | 50mm |
開放f値 | 1.5 |
マウント | M |
フィルター径 | 39mm |
最短撮影距離 | 0.7m |
タイプ | 滲み(Kino-Plasmat型) |
特徴 | 球面収差可変、伝説のレンズのオマージュ |
製造年 | 2020年頃 |
価格 | ★☆☆☆☆ |
VARIO PRASMAの特徴
VARIO PRASMAは、Kino-Plasmat 50mm f1.5のオマージュレンズとして作られました。
キノプラズマートはその独特なソフトさが特徴で、数も少なく非常に希少なレンズです。
カラーバリエーションは宮崎光学らしくたくさんあります。
ブラックにシルバー、ペイントにブルー、レッド、ゴールド・・・
私は青を買いました。シリアルナンバーが青の000です。
このVARIO PRASMAのレンズ構成は4群6枚のキノプラズマート型で、スペックも本家と同じですが、とにかく軽いです。
そして価格は10万円強。
本家は3-500万円くらい。めちゃくちゃお買い得だと思います。
なによりキノプラズマート型というだけで貴重。
詳しくは下記の記事で暑苦しく語っているので(暇な方は)ご覧になってください。
このレンズのオリジナリティとしては、可変ポジションがあります。
可変なのでVARIO。ライカやツァイスがズームレンズ多焦点距離レンズなんかに使うラテン語で変わるみたいな意味だったかと思います。
ポジションは2-6まであって、それぞれの特徴は製品に同梱されているカルテに詳しく記載されています。
デフォルトはP6で、ライカのための距離計連動はP6のみで可能です。
P6が設計者の宮崎氏曰くもっともオリジナルに近い収差特性が得られます。
P2ではf1.5にて球面収差が過剰側に振れて激しいフレアが出てきて非点収差も大きくなりますが、ある程度絞ると特性が良好になるので、私の好きなSummilux 35mm(1st,2nd)のような滲みのあるレンズになります。
逆に言えば開放で暴れさせたい場合はP2をメインに使うと面白い写りになります。
このような個性があるレンズなので、ミラーレスを用いると各ポジションの描写を楽しむことができます。
ちなみに私はP2で距離計連動するよう少しいじっています。
変態の好む球面収差とミラーレスで使うときの注意点(参考)
高価なオールドレンズの醍醐味ともいえるのが上品に光が滲む球面収差です。
このレンズは球面収差が可変できますが、オールドレンズをよりよく理解するには、球面収差に関する理解は必須かと思います。
そのための勉強用としても、このレンズはよい教材かもしれません。
これはカルテに添付されているこのレンズの球面収差SA(Spherical Aberration)です。
この図はレンズの高さとその光線について書かれた縦収差の図で、レンズの高さ(入射光の位置)に対する焦点位置の点を結んだものです。真ん中の線をピント面として左が手前側、右が奥側になっています。
例えば、点状の光源を撮影したとしてその光源から発せられた光がが通ったレンズの位置ごとの光子が合成されて像となるわけですが、その位置によって前後の焦点位置成分が合成されるので、きれいな点でなく後ボケや前ボケのような成分が加わり滲んだような像になります。
この球面収差は現代の技術では非球面レンズを採用することでほぼ完璧に取り除くことも可能ではありますが、味としてある程度残存した状態で製品化されたものが多くあります。
設計の古いレンズではそのような手段もなく残ってしまう球面収差を、積極的に絵作りとして活用されています。
このレンズにおいては、私の好きなP2では全体的な膨らみは少なく光線が密集しているので結像はシャープになりますが、レンズの外側が激しく過剰補正されているので、フレアーとなって現れます。
そして、このf1.5をカットしてあげてf2以上で撮影してあげれば、フレアーが消えてシャープな像が得られるという、ザ・オールドレンズの特徴になります。
なのでこの球面収差の仕組みを理解しないまま開放でピントを合わせると、フレアーがピンボケに見えてピントが合っていないと勘違いしてしまい、フレアーが小さくなるよう本来よりも少し後ろにピント合わせがちになるはずです。
ミラーレスメインで開放でオールドレンズを使っている方はこの辺を意識してみると、新たな魅力を発見できると思います。
描写について
作例は全てP2の開放です。
日中曇天の光量が均一なシーン。
このようなシーンならフレアはあまり気になりませんが、一方で前ボケは激しい放射型の収差が現れます。
前放射、後グルグルのオールド好きにはたまらない収差です。
シャープネスと淡さの同居する美しい描写だと思います。
これが夜間のコントラスト差の大きいところになると、光が暗部に乗るので滲みが顕著になります。
ハイライトは特に収差が顕著に現れますから、夜間はかなり癖の強いレンズになります。
このレンズ、人を撮るのにものすごく良いです。家族しか撮っていないので作例が載せられないのですが…
VARIO PRASMAはプアマンズキノプラズマートにあらず
このレンズは本家に比べれば非常に安価です。
しかしながら、ガラスの材料改良やマルチコーティングによる恩恵は、本家とはまた異なる魅力を付与してくれています。
特に、コーティングによる発色の良さはオールドには無いカラーとの相性の良さもあって、多くのシーンで使いやすく感じます。
なかなか個性のあるレンズですが、この独特な描写が癖になってしまうともうダメですね。笑
軽くて0.7mまで寄れて、そしてこの旨味の強い描写ときてます。
そうして気がつけば、私の標準レンズになっていました。
少し癖が強すぎるという場合にはポジションの数字をあげていけばいいだけですからね。
本当に変態のツボを付いた良いレンズだと思います。
http://fotoborse.blog.jp/archives/1960829.html
あまりインターネット上では販売されていませんが、フォトベルゼさんやレモン社さんにて新品購入することができます。
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