Dr.Rudolphに想いを馳せて... シネレンズ Dallmeyer “SPEED” 25mm f1.5

こんにちは!前のめり(@maenomelife)です!

 

最近マニアックなカメラの話ばかりになってしまいすみません。。

今回は、DALLMEYERというメーカーのシネレンズをご紹介します。

  

シネレンズとは、その名の通り映画用に製造されたレンズですが、スチル用(静止画)のマウントで販売されたものや、マウントを改造してスチル用に転用したものが多く存在しています。

(シネレンズのススメはまた次回以降に・・・。)

 

今回はLEICA Tに合わせるためのレンズとしてこのレンズを選んだ理由を書いていきたいと思います。

 

Dr.Rudolphに思いを馳せる

(マニアックな話なので読み飛ばしOKです。)

レンズの背景とかに興味がある方は、ライカが好きな人もツァイスが好きな人もこの方の功績が今のレンズを作ってることを知ると、ちょっとだけ楽しいかもしれません。笑

 

ルドルフ博士は数学者でCarl Zeissにてレンズの設計を行っていました。

プロターというアナスティグマットレンズ(5周差を全て補正したレンズ)を開発したことで有名です。

そして、現代のレンズの基礎ともいえる、「プラナー」と「テッサー」の設計を完成させました。

 

プラナーが開発されたその当時にはまさに時代が早すぎたのですが、コーティング技術の向上した現代において未だに製造されているほど優秀なレンズですね。

 

またテッサーについては、当時コーティング技術が無くプラナー型の持つ内部反射面の多さを克服するために、同氏が設計したウナーとプロターを組み合わせて設計された3群4枚という非常にシンプルな構成のレンズ構成です。

 

そのテッサーはライカのエルマー、プラナーは現代のダブルガウス型の基礎でありズマール以降のライカのレンズの基礎になっています。

つまりは、私の好きなライカのレンズはこのルドルフ博士がいなければ生まれなかったのです。(当然殆どの国産レンズも)

 

前置きが長くなりましたが、後にルドルフ博士はCarl Zeissと決別・脱退し、そして第二次世界大戦で通貨の暴落により資産を失いHugo Meyer(ヒューゴメイヤー、発音はフーゴマイヤー?)に再就職しました。

そのヒューゴメイヤーで彼が設計を行ったのが、「Plasmat」シリーズでした。

 

そして、ルドルフ博士がメイヤーにて最初に設計したのが、タイトルにもある「Kino-Plasmat キノプラズマート」です。

このキノプラズマート独自のレンズ構成はキノプラズマート型と呼ばれ、かなり特徴的な描写です。

 

このKinoというのは映画のことだそうで、このレンズはその名の通り映画用レンズです。

ルドルフ博士が従来作ってきた、記録的側面の強い写真用レンズでなく、どちらかというと感情に訴える側面の強い映画カメラに向けたレンズを開発したというのは、とても興味深いことではないでしょうか。

 

彼自身が数学者だという事を考えても、これまでの理詰めの設計から思考が成熟し感情に訴えかけるような、そんな情緒的なレンズを作り上げたかったのではないかと思わずにいられません。

 

そんな面白い歴史的背景のこのレンズは価格がとんでもないことになっています。

 

映画用カメラ用をライカマウントに改造されたものでも300万円下らず、更にごく少数製造されたオリジナルのライカマウントのものは更に高価。

まさに伝説のレンズ的存在。

 

Dallmeyer SPEED 1inch(25mm) f1.5

そんなルドルフ博士の完成させたキノプラズマート型を採用したレンズは、実は殆ど存在しません。

このDallmeyer(ダルメイヤー)のSPEEDはその非常に貴重な存在のうちのひとつです。

 

ダルメメイヤーはイギリスの映画用カメラレンズメーカーで、こちらも、現代で100万円超えのシネレンズがたくさんあるようなメーカーです。

 

しかし、今回購入した1inchはシネレンズによくあるCマウント用レンズです。

製造は1930年ごろ。

 

Cマウントは本来16mmフィルムというAPS-Cの1/4ほどの面積しかない非常に小さなイメージサークルで設計されているので、今のカメラに使ってもケラレてしまいます。

 

しかし、一部のシネレンズはある程度余裕のあるイメージサークルを持っていて、APS-C程度までは使えるのも多くあり、このSPEEDもそんなレンズ。

フードを外せば、APS-Cまでカバーできます。

 

マイクロフォーサーズが出てからは暫く高騰していたようですが、現在ではフルサイズのカメラがメインになってきたおかげかかなりお安くなっています。

同様のCマウント16mmカメラ用のキノプラズマート1inchはおよそ10万円〜ですが、いつものように私はジャンクを自分で手入れしたので、かなりお安く手に入れることができました。

描写について

中央部以外は使われることを考慮されていないため、激しく収差が出ます

 

この高解像と低解像の同居が癖になる面白さですよね。

 

周辺減光はかなり大きいですが、絞ればちゃんと端まで写っているので、ケラレではありません。

 

しかしフードを装着すると、若干のケラレが発生します。(周辺減光と同じくらい)

 

このダルメイヤースピードは、本家のキノプラズマートと比較するとかなり色乗りやコントラストはあっさりしてるみたいです。

 

コントラストの低さは内部反射の多さです。

現代レンズはコーティングで克服していますが、この時代のレンズはそう言った性能の低さもオールドレンズ の味としてポジティブに捉えることが出来るので、ものは考えようですよね...

 

太陽は真上にいるよりも、低い位置のほうが心地よい。

いかにもオールドらしいレンズです。

 

低いコントラストのレンズは、屋内の雰囲気をよく切り取ってくれます。

埃っぽくて汚い位の方が個人的に撮ってて楽しく感じます。

 

このレンズは周辺に行くに従って非常に大きな滲みが出るので、開放では周辺のピントは合いません。

 

なので無限遠でものっぺりせずに使ってて楽しい。

 

ちゃっかりバブルボケ。

 

また像の形についてはピント面はバランスが取れているのですが、ピント面よりも前側(前ボケ)は激しい放射形、後ろ側(後ボケ)ではグルグルボケが出てきます。

 

でも、私のように拗らせた人間は、これくらいソフトフォーカスで、癖の強いレンズの方が使ってて楽しかったり。

 

ソフトフォーカスでレンズの個性が強いので、ある意味私にとってはとても使いやすいです。

 

キノプラはいいぞ

私には本家は買えませんが、Dallmeyerだってとても良いレンズです。

しかし、フルサイズで使いたいよって方は、本家ヒューゴメイヤーで300万〜、ダルメイヤーでも100万〜と大変高価。

 

そこに救いの手を差し伸べたのが、我らが宮崎光学。

 

このVARIO PRASMAは、キノプラズマート型を用いつつ硝材を改良することで、周辺の収差も程よく調整されており非常に使いやすいキノプラズマートになっています。

 

また、コーティングにより発色も良くなっているので、屋外での花の撮影等には、特徴的なボケと相まって最高でしょう。

 

そしてユニークなのが、SA-VARIとあるように、前玉を移動させることで球面収差(ボケ感やピント面のシャープさ)を可変できます。

過剰補正側に可変できるので、ある意味ライカのタンバールの代わりにもなるかも。

 

ただし、可変した状態でピントを合わせるには自分で調整するかLVを使わなければいけないという玄人仕様です。

(そもそも、宮崎光学が玄人向けですが..)

 

販売価格で、11万円。

本家の1/30です。すごい。

 

また、最近は新生Meyer OptikがTrioplanをリメイクしたりしているので、このキノプラも蘇るかも...しれません。

 

ルドルフ博士らのヒューゴメイヤーは、このキノプラズマートを映画用と、スチル用としてはライカ向けに製造していました。

ライカn交換レンズや、初量産モデルのA型の固定レンズとして少数製造されました。

 

カールツァイスでなく、ライカなのは個人的にすごく重要。

 

これまで私の持っているLEICA TはAPS-Cのためフルサイズフォーマットのライカレンズでは収差の強く出る端まで美味しいところを使い切れずもどかしい思いをしていましたが、このイメージサークルの小さいレンズであれば癖を余すところ無く堪能できるので、とても満足しています。

 

このキノプラズマート型レンズをライカで撮ることは、個人的に使っていてとてもわくわくさせてくれる、とても良い組み合わせでした。

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