Hektor 7.3cm f1.9 の仕様
レンズの物知り度 | レンズの希少度 | 描写の好み度 |
★★☆☆☆ | ★★☆☆☆ | ★★★★★ |
レンズ名 | Hektor 7.3cm f1.9 |
メーカー | Ernst Leitz Wetzlar |
焦点距離 | 73mm |
開放f値 | 1.9 |
マウント | LTM |
フィルター径 | 39mm |
最短撮影距離 | 0.8~1.5m(個体による) |
タイプ | 滲み(Hektor型) |
特徴 | フレアの美しいレンズの祖 |
製造年 | 1930-1941年頃 |
価格 | ★★★☆☆ |
レンズの特徴
このレンズの特徴は、「個体差」です。笑
製造時期はおよそ10年程度ですが、その間に7000本強しか製造されませんでした。
1930年製造開始というスペックでは当時驚異的な明るさを誇るレンズで、相当製造に技術を要するレンズだったのでしょう。
このレンズを覗くと、ほぼ間違いなくガラスに気泡が入っています。気泡ガラスは写りには影響がなく、その昔には脈理を除かれた上質なガラスの証でもあったようです。
個体差の言われですが、まずレンズ鏡胴が大きく分けて回転式と直進式があり、更に各部の仕上げがペイントだったりニッケルだったりクロームだったりと細かく分類するときりがないレベルです。
直進式は最短が1.5m程度なのに対し、回転式では1.1m程度まで寄れる個体が多いので、回転式のほうが使いやすいと思います。
僅か7000本程度のレンズでなぜここまで仕様の違いがあるのかはライツ七不思議のひとつに数えても良いのではないでしょうかね。笑
また、描写についても個体差が最も激しいライカのレンズだと言われており、こればかりはどうしようもありませんので、本数を使って自分の好みに合うものを見つけるほかないでしょう。
このような、指標の文字が当時のライカボディ同様に銀で装飾されており非常にコストがかかっています。
この頃のブラックレンズ特有の銀の文字の美しさを味わえる数少ないレンズのひとつです。
描写
少し絞ったような気がしますが、シャープさと柔らかさが同居します。
曇りの日でも、日中の光量だとこのような柔らかさが出てきます。
当時は、まだライカのラインナップではElmarやHektor5cmに次ぐ6種類目のレンズですから、このようなフレアが美しいライカレンズの元祖ですね。(通常のライカレンズはこのようなフレアは少ない)
ハイライトを抑えると、芯のシャープさがよくわかります。
開放で写るものもあれば柔らかくなるものもありますが、基本的には光量が増えるとふわっとしてきます。
このレンズは前玉が傷つきやすいようで、状態の悪い個体が多いことからも柔らかい描写であるのが定説になっているのかもしれません。
希少なレンズではありますが、手放す方が多いのか店頭には割と並ぶレンズです。少しでもシャープなレンズが良いという方は、よく撮り比べて購入すると良いと思います。
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