Summicron 50mm 1st の仕様
レンズの物知り度 | レンズの希少度 | 描写の好み度 |
★☆☆☆☆ | ★★☆☆☆ | ★★★☆☆ |
レンズ名 | Summicron 50mm f2 |
メーカー | Ernst Leitz |
焦点距離 | 50mm |
開放f値 | 2.0 |
マウント | LTM(L39),ライカM |
フィルター径 | 39mm(E39) |
最短撮影距離 | 1.0m |
タイプ | (ダブルガウス型) |
特徴 | 空気レンズ |
製造年 | 1951-1969年頃 |
価格 | ★☆☆☆☆ |
製造番号100万番代以下のすべて、及び110万以下の一部レンズにおいて、エレメントが黄変しやすいトリウムレンズを採用したタイプもありますが、今回の記録は一般的なものを用いています。
レンズの特徴
個人的に思う、8枚玉と並ぶザ・ライツなレンズ。
ライツ黄金期と呼ばれる1950年代の1本で、世界をカメラの常識を変えたLeica M3に合わせて発表されたレンズです。
M3がカメラの常識を変えたのであれば、このズミクロン50mmはレンズの常識を変えたといっても過言ではなく、現代においても非常に優れた画質を提供してくれます。
逆に言えばレンズの個性として癖の強さや滲み、ぐるぐるボケなどを持つレンズが好きな方にとってはやや物足りないかもしれません。
ライカのダブルガウス50mmレンズとしてはSummar→Summitarに続き登場し、ズミクロンという名は現代まで受け継がれています。
また、ライカを使った中で最も有名と言えるフォトグラファーのHCブレッソン氏がこのレンズを愛用していたことも有名な話です。(もちろん他のライツレンズ、他社カメラも使っていましたが)
このレンズの特徴と言われるのはSummitarから前群の貼り合わせを分離した「空気レンズ」です。
張り合わせ面を分離させる設計技法自体はこれが初めてというわけではありませんが、(Dagor系から派生したKino-Plasmat等)初期はノンコートであったSummitarと異なり、完全にコーティングありきの設計となったからこそなのでしょう。
レンズの作りも、ライツ黄金期を代表するレンズと呼ぶにふさわしく、精巧な沈胴機構を持ち、f2という明るさにも関わらず狂いのない距離系精度を持っています。
沈胴機構を持ちながら、この解像度を持つレンズの距離系精度を保証していたというのは狂気の沙汰であったらしく、相当なコストをかけて製造されていたのであろうとも当時の日本人技術者も語っています。
製造数も多く近年までは比較的安価なオールドレンズでしたが、最近では10万円を超える値段になってきています。
癖は少なく、しかしながらオールドレンズに相応しいある意味での不完全さとクオリティ、そして何よりライカの作る画作りをこのレンズは知ることができます。
ライカのレンズがお好きな方であればぜひ1度は使ってみていただきたいレンズです。
描写
もはや、完成されていると言っても過言ではない描写力です。
これ以前のレンズはその柔らかさ(≒甘さ)も含んでの味でしたが、ズミクロンは圧倒的な解像力を持っています。
すべて絞り開放です。
ピントの甘さはレンジファインダーなので大目に見ていただきたいですが、コントラストの素晴らしいレンズは被写体の立体感も優れています。
このボケのざわつき具合はズミクロンですね。この点については好き嫌いが分かれると思います。
苦手な方はSummiluxを選びましょう。
70年前のレンズでこの描写力です。
レンズの外観、描写共にライカらしさを存分に味わえるレンズです。
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