こんにちは!前のめり(@maenomelife)です!
今回は無一居さんというサイトにて40本製造された院落P1というレンズのレビューです。
院落P1 50mm f1.9について
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今年の2月ごろに突如購入者の募集が始まったこのレンズ。
無一居さんは古典レンズを研究されているサイトで、特に古いヨーロッパのレンズについてとても詳しく掲載されています。
その中でオリジナルのレンズ群の設計企画もされており、過去には花影という実際に製造されたレンズもあります。
そしてこの院落はその中のひとつでHugo MeyerのKino Plasmatを設計に忠実に50mmで製造されたレンズ。
レンズに関する背景や設計思想については無一居さんの方で既に十分に書かれておりますのでそちらもご覧ください。
![](https://maenomeri.tokyo/wp-content/themes/swell/assets/img/placeholder.png)
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ちなみに、HPを見ると一見中国かな?と思われるかもしれませんが、日本の木下光学にて制作されています。
50mm f1.9というスペック
![](https://maenomeri.tokyo/wp-content/uploads/2021/07/DSC_3968-1024x683.jpg)
無一居さんの設計レンズは基本的に過去の名レンズをオマージュしたものが多く掲載されておりますが、このレンズに関してはオリジナルに忠実です。
しかし、そのキノプラズマートのオリジナルもf1.5/5cm,7.5cmを主として何パターンかが製造されましたが、特許に記載されたf2のキノプラズマート5cmの製造は映画用としてごく僅かに作られたのみのようです。
最も人気の高いf1.5の5cm,7.5cmは初期設計に比べ口径が大きく、構成こそ同じなれど、レンズの設計も異なっていることが分かっています。
しかし一方で、映画向けに明るく再設計されたと言われるf1.5は当初の設計案より明るく、設計者のルドルフ博士のイメージした描写よりも柔らかくなり過ぎているのかもしれませんね。
ルドルフ博士が当初目指した描写がf2での設計に込められているのであれば、勿論f1.5開放は涎が出るほど美しいわけですが、f1.5をf2に絞ったときよりもこのオリジナル設計の開放f2の方が美しい可能性があるのではないかと想像してしまいますよね。
でもこれもf1.9ではないか、と。
しかしこのレンズのf1.9については、f2設計のガラスの曲率はそのままより周辺までガラスの使用範囲を拡張されたものなので、0.1絞れば概ねf2の描写となります。
これについても紆余曲折あって、当初無一居さんの方でf1.9として制作するという計画があげられていましたが、やはり当初特許通りf2でという話に。
私個人的には写真用のレンズではf1.9も多く見られる事から、厳密な回折の影響の排除よりもコンマ1明るくし球面収差過剰に振れることによる絵的な揺らぎを求めたいとお願いしました。(他の方からも同様の声が多く寄せられたとのことでした)
上記無一居さんのシミュレーションした収差特性設計を見ればわかるようにf2まではほぼきれいに補正されますが、f1.9ではやや過剰に振れます。
このf値0.1は全光量の中では誤差のようなものですが、その絞り出したオーバーパワー分が絵に味を加えてくれると思います。
勿論、気持ちだけ絞れば無一居さんは回折の影響こそ懸念していますが、f2の本来の描写が得られます。
キノプラズマートといえば、柔らかな絵と激しいぐるぐるボケというイメージを持つ方が多いかと思いますが、このレンズはキノプラズマート原設計、いわばルドルフ博士の当初の設計思想を求めたものであり、どういう絵が出てくるかとても楽しみに到着を待っていました。
Dr. Paul RudolphはPlanarやTessarといった100年以上現役のレンズを発明した設計者です。ルドルフ博士については下記事を。
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外観
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木下光学さんのレンズを初めて手に取りましたが、非常に質感の良い仕上がりに仕上がっています。
フィルター経は40.5mmとのですが、対応するフィルターを所有していないので分かりません。
ノンコートレンズですので余計なものはつけないほうが良いですね。
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絞り羽は6枚の6角、ヘリコイドは回転式で、LTMですがMマウントボディではおよそ80cmまで連動します。
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同Kino-Plasmat型のVARIO PRASMA50mm f1.5とのサイズ比。
描写
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「思った以上にキノプラズマート」。
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もっと、すっきりするかとも思いましたが、思っていた以上にキノプラの特徴が出ていますね。
それでいて、球面収差、非点収差は程良さそうな感じです。
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ノンコートでフレアが現れ程よくコントラストも抑えられるのが素晴らしいです。
適度な滲み、フレアは映画・動画用として現代においても重要な要素として認知されていますが、そんなレンズをPlanarやTessarを開発した同一人物が生み出したというのも驚きです。
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絞りの形状は出てきますね。
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オリジナルは勿論使ったことはありませんけれど、キノプラズマートは個人的には本当に思い通りにいかないレンズです。
ハマった時は本当に凄いんですけれどね。
点光源にて特性チェック。
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これをどのように見ればいいかというと、各位置で光の膨らみがそのまま日中では滲みとして合成されて現れてきます。
1段絞れば中央部ではほぼ解消、2段絞りでクリアになります。
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しかし条件によっては、絞り形状からf4でもこのように光芒が出ることがあるようです。
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キノプラズマートの収差と、ノンコートの柔らかさは動画に使うのもとても良さそうですね。
同じキノプラズマートオマージュレンズもオススメです。
宮崎さんのほうはコーティングがかかっていてコントラストが出てくるのと、癖がかなり改善されています。
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