楽器のように唄うスピーカーTANNOY Stirling/SE レビュー

こんにちは!前のめり(@maenomelife)です!

今回は私のオーディオシステムのメインスピーカーとして愛用している、TANNOY PRESTIGE Series Stirling/SEをご紹介したいと思います。

 

Contents

TANNOYについて

TANNOY社はイギリスのスピーカーメーカーです。

 

高価格帯の製品が多いので家電量販店では置いてはいませんが、オーディオ界ではかなりの有名どころ。

特色は何と言っても、ウーファーの中央部にツィーターを同軸上に配置されたデュアルコンセントリックというシステムです。

 

スピーカーの真ん中がラッパになっている。

 

デュアルコンセントリックは磁力で駆動するスピーカーを同じ場所に配置するのですから、互いへの影響を考えると設計、製造上難しさが大きいのは想像に難くありません。

ですが、その代償を支払ってでもこの構造にこだわるのは、同軸上に配置することで点音源となることから音像定位が優れるというメリットがあるからです。

 

1947年に開発されたこの構造は現代にも改良を重ねながら受け継がれており、他にはない特異な構造が多くのファンが惹き寄せています。

 

PRESTIGE Seriesについて

PRESTIGEシリーズはTANNOYの中でも代表的ないわば顔になるシリーズです。

 

TANNOYには他にもRevolutionなど現代的シリーズがありますが、このPRESTIGEシリーズの大きな特徴はこれまでのTANNOYの伝統的な構造を受け継いでいることです。

モダンなトール型のスピーカーとは一線を画すトラディショナルなデザインが他にはない魅力です。

 

そして、このPRESTIGEシリーズの最も面白いのは、音の鳴らし方にあります。

現代の通常のスピーカーエンクロージャーはMDFや合成樹脂等を用いて極力素材の密度を高め、箱が響かないように堅牢に作られています。

それは、スピーカーユニットの発する音の波でエンクロージャーが振動してしまうと、音の締りが無くなり本来の意図する音と変わってきてしまうからです。

 

しかし、PRESTIGEシリーズでは箱の構造にウォルナットやチークなどの無垢材を多く使用し、悪とされる箱鳴りを音色に積極的に活用しています。

筐体が響くということはもはやそれは楽器です。

 

その構造の特異さは顕著に重さに出ています。

同サイズの通常のスピーカーは40kg近くあるものの多い中、Stirlingは23kgしかありません。

 

ここで思うのは、それではHi-Fi(高再現性)が失われてしまうのではないか?ということです。

それについては、残念ながらその通りの部分もあります。

高周波数域が苦手で、また、箱が振動するので低音も締まりは悪いです。また、鋭い音の再現性は通常のスピーカーに比べると劣ります。

 

しかし、その欠点を補って有り余るのが、音の響きです。

適度な響きによって、音が硬くならないので、聴き疲れが少なくリラックスして音楽を楽しむことができるのです。

それと相まって、デュアルコンセントリックによる音像定位の良さが、リアリティをより高め、まさに生音さながらのような臨場感が生まれるのです。

 

これが、TANNOYのオーディオで聴く音楽とはなにかというひとつの答えだと思います。

知ってしまうともう他は聞けないという人が多いのもうなずけます。

 

しかし、やはり、高再現性が重要だという方への選択肢として、この同軸2wayを現代的な堅牢な箱で箱鳴りが抑えられたシリーズも用意されています。

蛇足ですが、私が所持している日本のDIATONEというメーカーのスピーカーは、ボロンというカーボンでできたユニットが特徴で、このTannoyとは対極かのようなキンキンとした音が耳に響きます。

 

同じ音楽を聴いても、スピーカーが変わると雰囲気も変わるんですよね。どっちが悪いとかはありません。

 

Stirling/SEについて

StirlingはPRESTIGEシリーズの中では最も小型で安価なモデルです。(Autograph miniという特殊モデル除く)

 

このStirlingから箱が大きくなるTurnberry、ユニットと箱がさらに大きくなるCanterbury、更にさらに、、と多くのモデルが存在しています。

 

しかし、最も小型といっても高さが855mmあるので中々の大きさはあります。

Stirling/SE1983年に発売された初期型から数えると6代目で、TANNOY80周年記念として2006年に発売されたモデルです。

 

2013年に生産完了し7代目のGRシリーズにモデルチェンジしたのですが、私の使っているものは奇跡的に2018年に新品で販売しているのを発見して購入したものです。

これは最新のStirling GRです。

 

シンプルなSEに比べて本体に刻まれているGRのロゴが少し主張が激しいです。笑

サランネットの鍵は省略されました。

 

音質では比較ができないのでわかりませんが、SEは上が25kHzまでなのに対して、GRの方は46kHzまでのハイレゾに対応しています。

高レンジを意識したチューニングの代わりに音が少し変わったなんて噂も。

 

中古市場では前のHETWWは多くあるのに対してSEは全くといっていいほど流通がありません。

オーディオブームの停滞期も相まって生産数はかなり少なかったのだと思います。

私はそんなSEが好きです。

 

レビュー

音質は、まさに評判通りの定位の良さで、音の分解も良く、どこでどの楽器が鳴ってるーなんてのがその場にいるかのようによく分かります。

 

本当に響きが豊かで聴き疲れがないので、あの音が聴こえないとか、低音の締りが〜とか、そんなオーディオの細かい屁理屈なんか気にせずにゆったり聴くことができます。

ホームオーディオは音楽を楽しむものですからリラックスして聴けるというのは本当に魅力だと思います。

 

このスピーカーは打ち込みや電子音の多い音楽よりも楽器の生音やボーカルメインの曲を聴きたくなります。

正直言えばピアノなどの鋭い音や、低音重視の音楽ではもう少し締まりが欲しいなーと感じることはあります。

 

しかし、そんなのは些細な問題で、オーケストラ、ジャズ、ロック、ジャンル問わず楽しむことができます。

正直普通の住宅ならこのレベルで十分すぎる位です。

 

 

また、家具としてのインテリア性も優れており、非常に高級感があり満足度が高いです。

Stirlingはサランネットをつけた状態が音質的にも落ち着いて、さりげない美しさも素晴らしいですが、やはり外した時の存在感は凄いです。

 

面白いのはこのスピーカー用に開発された専用ワックスが付属しています(笑)

 

サランネットは鍵でロックを解除します。

 

高級家具感が素晴らしい。

 

スピーカーの足は付属の平らなものでセッティングしています。

先端の鋭い足も付属していて、特に響くこのスピーカーはそちらの方が望ましいとは思うのですが、地震の時に倒れそうなので控えています。

 

また、このスピーカーは通常のフロアスピーカーと比べて高さが低めな上、同軸2wayという特徴から、本来耳の高さが良いとされるツィーターが、かなり低い位置にあります。

そのため、低い位置で聴ける、または離れた位置から楽しむ事が望ましいと思います。

 

Stirlingはトーンコントロールが付いていますが、設定はやや低音強め。

 

販売してくださったベテランの方によると、一般的な視聴環境では低音が不足しがちになるのでこちらの設定がTannoyの社員おすすめだそうです。

最後に、背面ターミナルは星型のターミナルでバイワイヤリング対応。

 

上のケーブルをバナナで繋ぐと、太くて重いケーブルでは少し負荷がかかってしまいます。

使いづらいとの声が多かったのかGRでは従来のレイアウトに変更されたようです。

 

相性のいいアンプ

Stirlingは再現性が劣ると書きましたが、それはあくまで同クラスと比較した時の話であって、やはり高級スピーカーなのでアンプの性能差は音質に露骨に現れます。

 

特に駆動力の弱い性能の低いアンプでは、響きが全然違います。

 

では高額でパワフルなアンプが必要なのかというと、そんなことは全然ありません。

スピーカーユニットは10インチとそこまで大きくはありませんが、能率は91dBもあります。

そのため、駆動力が強すぎないアンプが最も相性がいいようです。

 

私が購入時に最もオススメされたのはPrimareのアンプ

I15 ANALOG BLK/K [ブラック]

すでにディスコンになってしまいましたが、購入時にはI22というモデルで試聴しました。

出力は80Wですが、確かにバランスが素晴らしいです。

 

他のアンプでは弱いと音が引っ込んでたり、強すぎると強引な感じが出てくる。

ヨーロッパのアンプって、値段の割に薄くて中身もスカスカなんですけど、真剣に音に向き合ってるのがよく伝わってくるんですよね。

 

アンプ選びって本当に難しくて、スペックには載ってない要素で音の出方が全く違います。

私はMcintoshMA5200をメインで使っていますが、どんな音楽でもそつなく鳴らせる優れたアンプだと思います。

視覚的にもブルーアイズが夜のリラックスして音楽を楽しむ空間を作る手助けをしてくれます。

 

見た目優先で購入したのであえて書きますが、Stirlingにマッキンでは駆動力が強すぎます・・。

言葉で表すのが難しいのですが、自転車でスピードに乗っているときに、ギアを1速に落としたらペダリングが間に合わず空回りしているような感覚です。

 

音が元気です。

購入後に販売していただいた方に話をしたら、「アンプが強すぎるよ!笑」と言われてしまいました。

このアンプはでっかいJBLなんかを鳴らすやつだよって。

 

ということで、その時にはCreekEvolution 50Aをオススメしてもらいました。(これももうディスコン)

Creek Audioは元々Tannoyに買われた時期もあるメーカーで、現在でもスピーカーのチューニングに使われるアンプのひとつなんだとか。

それを聴くと悪い気はしないですよねぇ。

ということで、Evolutionよりも少しパワーの弱い30年前の旧型の4240という機種を購入しました。

駆動力は全く問題なく、素晴らしい音を奏でています。

 

おわりに

TANNOYのスピーカーは現代の特殊素材を用いた超高再現性というスペックからは少し距離を置くとてもおもしろいスピーカーです。

 

しかし、そんなTANNOY大きな地位を築いており、ヨドバシ、ビック、ヤマダでも、高級オーディオを扱う大型店であれば、間違いなくこのStirlingは展示されています。

私は見た目に一目惚れして即決でしたが、オーディオに悩んでいる方がいたらぜひ一聴してみることをお勧めします。

 

自宅でゆったりと音楽を聴くということは、あらゆるストレスから開放され、至高の時間となるでしょう。

高品質な音楽がそばにある生活は、必ず人の人生の質を向上させてくれると思います。

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コメント

コメント一覧 (4件)

  • こんにちは、私もtannoy seを先週購入したのですがアンプとの相性に悩んでいます。ちなみに最近filmカメラも始め趣味の傾向に近いものを感じるので宜しければお友達になっていただけるとうれしいです◎
    同世代くらいで趣味が近い方珍しく思いましたw

    • Tannoyご購入おめでとうございます!!
      アンプは悩みますよね・・・。
      個人的にはやはり同じブリティッシュサウンドということでCREEKのアンプが気に入っています^^
      同年代とのことで、オーディオもフィルムカメラもされているなんて、本当になかなかいらっしゃらないですねw
      是非是非Twitterやられているのなら、お声がけ頂ければ嬉しいです!

  • はじめまして。
    Twitterでは以前からフォローさせていただいております。
    ライカの3Fとエルマー50を買って写真を楽しみ始めたところなのですが、全く同じタンノイを所有しております。V-LA1という真空管アンプで楽しんでいるのですが、先日タンノイ所有者ならバルナックライカ を買うのは仕方ないと指摘されたので思わずこの記事を見つけてコメントしてしまいました。
    突然すみません(^^)

    • いつもありがとうございます!
      真空管でタンノイ、最高ですね…
      それは仕方ないです。タンノイもバルナックもジャンルは違えど、性能にはない何かを持ってる素晴らしいものです。
      趣味にお熱な道楽者の証ですね…笑

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