ヴィンテージオーディオにハマって、TANNOY IIILZとLUXMANの真空管アンプを買った。

このブログでのオーディオ記事は閑話的な感じで気付けば3年ぶりの投稿です。

しばらく前にはなりますが、少し古いスピーカーとアンプを買いました。

 

久しぶりにオーディオ業界を覗くと、オカルト要素はずいぶん正されてきているような感じを受けました。

 

レコードプレーヤーも、レコードの魅力を損なうだけの若者騙しだけでなく、ちゃんとしたプレーヤーもしっかり出ています。

  

いつのまにか、私の好きなTANNOYはコロナでほぼ動きが止まっている中、TANNOYからエンジニアが抜けてFYNE AUDIOなるものを立ち上げて超ベストセラーになっているではありませんか。

 

これ、完全にTANNOYのEVOLUTIONシリーズの上位互換…

 

そして、YOUTUBEでも多くの方がオーディオ情報を発信しています。

3年前は他の誰も言っていなかったはずのオーディオの音色はほぼダンピングファクターで決まるという話も今ではYouTube等でみなさん知られて実践されているようです。

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あれから、色々と知識は得ましたが概ね上記が結論です。

オーディオシステムはスピーカーがほぼ全てで、その他への投資は一定以上のお金をかければSN比や歪、ギャングエラーなど素晴らしい性能を得られますが、これらはどれもささいな違いでしかなくスピーカーの魅力が引き立つようにダンピングファクターを調整しつつ見た目を気にすれば良いというのが私の持論です。

 

と話が脱線しましたが、 そんな中で盛り上がりを見せていたのがヴィンテージオーディオでした。

 

Contents

本題:ヴィンテージオーディオについて

ヴィンテージオーディオなるものも私は好きで10年以上前からDIATONEやSansui,JBLなど色々所有していましたが、古いオーディオを格好良くヴィンテージオーディオと言うことはありませんでした。

 

丁度3,4年前にオーディオを揃えたときにもヴィンテージオーディオの機運は高まっていたのを感じではいましたが、いつの間にかハードオフもメンテナンス体制が充実し、オーディオサロンでなくても古い機材を修理して丁寧に売るようになっているし(これもSDGsの普及の賜物でしょうか、素晴らしい!)、コロナ期間の間にお家時間の充実という名目で非常に多くのヴィンテージの音響機器が売れ、人気の機種は相場が何倍にもなっている…と某オーディオショップの店員さんが教えてくれました。

 

確かにオールドレンズもこの2年位で2、3倍くらいに値段が上がりました。

 

カメラでも同じですがここでいう「ヴィンテージ」は単に古いという意味であって、厳密にいつ頃のというものは無いですが、少なくともデジタル回路の入ってくる1990年よりは前でしょう。

 

その中でも私が特に良いと思ったのが1970年頃の製品です。

この時代はまだ性能追求のための過剰な物量投入が始まる前のシンプルさが見られます。

 

見た目もクラシックな外観が美しく、真空管は既に成熟しトランジスタ(半導体)を用いた製品が出始めた時代で、真空管の真の意味での現役最期の製品が多いというのも成熟感があり魅力的です。

 

昔はジャンクは山ほどありましたが、整備された機械はマッキンとかアキュフェーズとか高級品ばかりだった気がします。

それが、例えばエントリーのラックスなどの売れ筋だけでなくケンウッド、ソニー、日立等のアンプなんかでもちゃんと整備され3万円くらいから買えるようになっています。

 

TANNOY IIILZ(3LZ) in cabinet mk2

というわけで少し前に買ったのが、このTANNOY IIILZです。(ただし、外観が残念なことになっています。)

 

タンノイのAutographと並ぶ名機であるIIILZはいつか使ってみたいと思っていました。  

Autographがホールや大豪邸用とすれば、IIILZは一般家庭やスタジオ用のスピーカーという立ち位置です。

 

現代タンノイの源流といっても過言ではないこのIIILZには10インチのモニターゴールドというスピーカーユニットが組み込まれています。

むしろこれ以降はタンノイじゃない、という人も多い。

 

同軸2wayには無駄も多いのかもしれませんが、ツィーターとウーハーが同心円状から放たれるので定位という意味では一般家庭の屋内で聞くためにはこれほど優れたシステムは無いと思います。

 

in Cabinet というのは、当時英国産のキャビネットの製造が追いつかず、自作や国産箱に入れて使いたいユーザーのために、ユニットとネットワークのみを単品で購入できるようになっていたことから区別されています。

一般的には英国産の箱が最もこのユニットを上手く鳴らせると言われていますが、おそらくもっと良くなる箱は色々あるのだと思います。

 

どうでしょう、見た目だけではなんとも高級品というよりはそこそこのものという印象をどうしても受けてしまいます。

ケーブルも箱から端子にもなってないただの直出しですからね。太いケーブルなんて使いたくても使わせてもらえない、それが1970年のオーディオ。

 

この時代のモニターゴールドにも色々な世代があって、初代は先代のモニターレッドというユニットの形状を引き継いだタイプ。

そして二代目がこの丸形のラージフレームと呼ばれるタイプで、私のものは二重バッフルとして珍重されています。

 

そして3代目、4代目とユニットの形状が変わりますが、音が違うと言われるのは私は比べたことがないので分からず、今ではユニットの経年変化もあるので厳密な違いは誰にもわからないと思われます。

 

あえてボロを選んだのもこれが理由です。

3代目4代目に比べ価格が高くなりがちですが、ボロ外観のおかげで安くなっていました。

 

エッジはコーン紙がそのままエッジとして使われているフィックスドエッジです。 

以降はHPDと呼ばれるユニットに変わりこちらも素晴らしいものには変わりませんが、やはりオールドタンノイを語るならば、コーン紙が工場火災によりクルトミューラー社製に変わる前のこの時代のユニットは一度は使ってみたいものですよね。

 

IIILZのネットワークとエンクロージャ修理

まずボロい、そして出音はするものの音はスカスカで左右のバランスも完全に崩れていました。

スピーカーの修理は木工作業なので、見た目さえ気にしなければ簡単です。

 

まずはネットワーク。

大きな2つの電解コンデンサは劣化により容量増加していました。

増加は耐圧性能の劣化や、周波数特性の変化に繋がります。

 

このネットワークの抵抗値とコンデンサ容量でクロスオーバー周波数を決めていますので、この劣化で音が細くなったり左右の音量差となっています。

 

現代ではネットワーク用フィルムコンデンサが充実していますので、収まるサイズのものを見繕って換装。

 

  

続いて外観。もとのオークション画像はこれ。酷い。

  

まず、角の酷い割れは一度剥がしてパテで隙間を埋めながら補修します。

ニスもボロボロです。

たとえ外観が傷がなくとも、このように経年で劣化はしてしまうのでいずれにせよリフレッシュはしたいです。

 

ニスを剥がしつつ、打ち傷が目立たなくなるまで研磨します。パテもならします。

 

ワトコオイルのエボニーを使ってみました。

一応ワトコオイルは海外製有名SPにも採用されています。

 

バッフルも外して、汚らしいサランネットを張り替えます。

適当にバチバチと。

 

仕上げに蜜蝋ワックスを塗って。

 

こんな感じになりました。

全然本物のエボニーとは色が違うけれど、いい色になりました。

パテの部分は気が向いたらタッチアップ塗装します。

ワックス仕上げにすることで、現行のタンノイと同じような木の質感と高級感が出てきます。

LUXMAN MQ60 Custom

IIILZといえば、QUADIIやSQ38FD,現代の300Bシングルといった選択肢がよく推奨されています。

このMQ60 CUSTOMは黄金の組み合わせと言われているSQ38FDと同じ、LUXMANのオリジナル3極管50CA10をプッシュプル駆動で動作させたアンプですがこのカスタムの面白さはNFBをかけない負帰還ならぬ不帰還(無帰還)なアンプです。

見た目も左右の回路が独立したデザインで素晴らしいですよね。

 

無帰還は特性は悪く駆動力も全くありませんし音もシビアになってしまうのですが、トランジスタでは無帰還の実現が難しいということもあり興味を持ちました。

”真空管らしさ”をより感じられる設計であるともいえますね。ALTECとか能率100db超えのスピーカーでなくても十分楽しめるアンプです。

 

とは言え、耐入力15WのIIILZに30W出力のこのアンプは少々ミスマッチでしょうか。

当時ではトランジスタと並ぶ大出力を当たり前にを目指した定格いっぱいまでPPAB1級でぶん回すスタイルは今では毛嫌いする方も多いと聞きます。300Bはシングルでの十分な出力を得られますからね。

それでも、当時同じパワー部を搭載したSQ38FDが黄金の組み合わせと言われたのには理由があるのでしょう。

 

それと、一点この時代のラックスマンの真空管パワーアンプには大きな欠点があります。

このMQ60をはじめ、SQ38FDなどこの時代に採用されていた出力トランスOY-15-5には内部腐食による断線が後年多発し、今では所有者がいなくなってしまったものをご家族や業者がオークション出品のために整備もせぬまま電源を入れてトドメをさしたり、まさにヴィンテージオーディオの難しさともいえる課題を持っています。

 

故障していたり音がかろうじて鳴っているようなジャンク品ばかりで、良品のトランスはなかなか見つけることができないのが難しいアンプです。

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LUXMAN CL35

同じくパワーアンプに合わせてCL35というコントロールアンプを選択しました。

現代ではパワーアンプだけで十分というコントロールアンプ不要論等色々な意見はありますが、私は特にこのシステムでは必須だと思っています。

 

とはいっても私はレコードでは聴かないのでコントロールアンプの中のPhonoイコライザー回路は私には不要です。(この回路のために12AU7,12AX7*2 が常時通電しているので勿体ない..)

 

また、出力電圧が高く、現代のDAC出力はこの当時のプレイヤーとくらべて倍以上あることからゲイン過多にも気をつける必要があります。

 

また、このアンプもノーメンテで現代で動くものはまずありません。

まずスイッチ類が殆ど接点が死んで不通、ガリノイズ等があります。

 

オイルコンデンサを採用しているので、間違いなく劣化しています。劣化したコンデンサは直流電流を素通しし、その先の機器を破壊してしまいます。

電源コンデンサもMQ60同様で弱く死んだ個体が多くありますし、生きていても今後調子良く動いてくれるかは分かりません。

 

実はこのアンプを購入する前にトランジスタ式のC-1000を入手したのですが、やはりMQ60に合わせるのは管球式だと買い替えたものです。完全に気分的に。音質、特にトーン回路はとても良かったです。

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ヴィンテージオーディオをはじめて

購入して数ヶ月使用しましたが、肝心のサウンドは素晴らしいです。

 

如何にもな見た目が古い機材から解像度は今のものと比べると素晴らしいとは言い切れない、けどそれ以上に魅力のある豊かな響きの音が聞こえてきます。これはもう見た目のイメージと完全に一致しています。

  

特に驚いたのが、低音です。

密閉型でこの10インチサイズのスピーカーでは言ってもそこまでの量感だろうと思っていましたが、これがもうフロア型のスターリングに劣らない低音で響きます。

  

決してハイファイであるとは言えませんが、丁度いいファイ、心地いいファイ。

 

B&Wのような音が好きな人には眠いしモヤモヤしてるだけだと一蹴されること間違いなしですが、こういう良さもアリだと思います。

 

一方で、上記のようにヴィンテージオーディオはハードルが高いというのが エンジニアからみた私の実感です。

古いフィルムカメラのようにとりあえずシャッターが動いて写ればいい、なんてものでなく電気回路が完璧に動作してなければいけません。

それを得るためには電気回路の知識や技量、または相応のコストがかかることは間違いありません。下手しなくても確実に現行のちゃんとした機材よりお金がかかります。

  

しかしそれでも私たちはレトロ、ヴィンテージ、アンティーク、こんな言葉に魅了されてしまいます。

実際に時を重ねた味わいだったり、今にはないシンプルな技術で作られた製品に愛着を持てたり、性能だけを突き詰めた現代の製品よりも心地良いというのは全て古い機材だからこそ楽しめるものです。

 

SDGsと言ってしまうと逆にさっぱりしてしまいますが、昔から温故知新という素晴らしい言葉があります。

趣味や癒やしの世界ではハイテク製品ばかりでなく、こういう昔ながらの機材に触れ合う楽しみ、ぜひみなさんも楽しんでみてください。

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