Luxman CL35レストア

LuxmanのCL35は名機のmarantz7を大いに参考にして開発されたプリアンプです。

ですので、使っている真空管や抵抗、コンデンサを同じにするとかなり近い音が出るとかなんとか。

 

今回は購入したCL35はホワイトノイズが大きく調子が悪かったのでその修理記録と合わせてレストアに関する備忘録として残しておきます。

 

購入したCL35ですが、例に漏れず1970年頃に発売されたこのアンプもとっくに部品寿命を迎えています。

ですので、たとえどんなに使われていなくても、美品でも、整備されていない個体では間違いなく性能が発揮できません。(コンデンサひとつをとってもオイルコンは確実に劣化していて真空管を壊すし、トーンコントロールは容量変化で意図した周波数での調整ができないし、電源もノイズ発生源になったり、リップルでぶっ壊したりと大変です。)

 

ですので、たとえそれまで音がなっていたとしてもとりあえずは中身を見てから通電するようにしています。

 

まず、球の数が7本とすごい数です。

内訳として、フォノ3段、トーンで2段、増幅で2段です。

名機SQ38FDはフォノ2段、トーン1段、増幅1段)なので、回路だけで倍入ってますね。

逆に言えばこのうち、フォノとトーンを使わないと、このCL35のおよそを捨てているといっても過言でない悲しい状況になります。(私のことです)

 

 

こんな感じで7段も真空管を載せているので、電源回路の数も半端ないです。

 

ブロックコンデンサだけでプリメインアンプよりも多い。幸い熱を持つ出力管がないので劣化はしづらいけどこれが悪くなったらコンデンサの部品代だけで2万近いですね。。現在はない仕様もあります。

容量増加している場合には絶縁の劣化が怖いので交換しますが、軽い容量抜けであれば、コンデンサをパラでかまして補ってあげるのが良いだろうと思います。

 

中身は既に手を入れられていて、持病のトランスとオイルコンデンサはほぼ交換されています。

 

トランスはLuxmanの型番っぽいものが記載されているので恐らく公式サービス用パーツだと思うのですが、ノーブランドっぽい見た目をしています。

もともと付いていたものも型式の無いちゃっちいトランスだったようで、容量不足やオイルコンの劣化による過電流等で故障が多発し、多くの個体でこのトランスに交換されているのをネット上でみることができます。

 

このカップリングのオイルコンをフィルムに置き換えたものがMK2になるわけですが、現代ではオイルコンを用いた補修は殆ど行われていないので、本当のCL35の音を聴きたいという意味でのレストアは非常に難しいです。

 

何度も言ってしましますがこのアンプは段数が多いし、更に低域特性のためかコンデンサ容量も0.47μFと大きいので、コンデンサの物量も凄いです。

まじめに全て新品オイルコンデンサでレストアしたら、それこそカップリングコンデンサ代だけで本体もう一個買えるくらいお金かかります。

 

既にコンデンサは殆ど交換されているので、電源周りに残っていたオイルコンデンサ等悪いものだけ変えました。

グレーのフィルムコンはLUXが純正修理で用いていたニチコン製のもので、一応はこれがLUX純正の音質ということになります。

 

電源のブロックコンデンサは全数チェックしたところどれも正常値でした。

同時期に整備したMQ60とSQ38FDは全てブロックコンデンサ不良で交換したので、パワー管が無く熱に晒されないのがパーツ寿命につながっているのでしょう。

 

パスコンは当初toshinのUTSJにしようと準備していましたが、フィルムコンを変えない分、音色にも変化が見られるようにニチコンMUSEの高めのやつにしました。

 

ダイオードは、片方のヒーター電源用と思われる方は日立のFRDでしょうか、もう片方のB電源と思われる方は,,?

 

これは純正だったようです。側面の色が気持ち悪いです。

 

それから、この手のLuxmanアンプはプリもメインもヘッドホン端子を通って出力されているので、おまじない的にステレオジャックは交換したほうがいいですね。

 

このように中身を見てきましたが、さすがセパレートアンプなだけあって、部材の熱影響は殆ど見られず、また潤沢な電源周りで明らかに金がかかっているアンプです。

マランツ7を最大限リスペクトして設計した製品ということですから、気合も入っていたのかもしれません。

 

ということで私の慣れている範囲でできるダイオードとコンデンサ交換をしてみましたが、ノイズは変わらずでしたので、大人しく修理へ…無事アースだとかソケットとかその辺を手入れして良くなったようです。

   

ということで修理してきましたが、このアンプを見てしまうとプリメインアンプのプリ部とCL35には大きな差があるのがよく分かりました。しかしトーンもフォノも使わなければ意味がありませんが。

特にレコードを聞かれる方にはこのアンプは間違いないでしょう。

 

私はフォノは使ってないのでわかりませんが、このアンプはゲインが大きいので特にデジタルソースを使うとかなりの大出力になります。

背面の入力、出力ボリュームに加え、通常組み合わせるLuxmanのパワーアンプには入力アッテネーターもついていますので、これらを上手く使ってなるべく低ノイズになるように使うのが良いと思います。

 

また、管の選定によってノイズ感も結構違いました。

いい球を使ってあげれば、それだけ音質に反映されそうな素晴らしいアンプな気がしました。

 

こちらのアンプもMQ60cの売却に伴い手放してしまいました。

スペースに余裕がありレコードを聴く方ならば、プリメインよりもセパレートを是非選んでもらいたいなと思いました。

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コメント

コメント一覧 (2件)

  • ラックスは今も管球アンプを提供で評価します。しかし記事中にある回路設計、トランスの問題は昔から言われています。私が何度も購入に至らなかった理由です。

    田村のトランスも過去OPT、PT共に振動、終いにはピッチ漏出で大泉にあった会社まで交換に行ったこともあります。数十年前からのステレオパワー、RL別のパワー、夫々L6系出力管はタンゴを使い全く問題なしです。ちなみにバイアスは固定。

    ラックスはスペースないのに熱対策不十分、カタログスペックのための複雑回路が問題と今も思っています。

    楽しい記事ありがとうございました。

    • 此方こそ貴重なお話ありがとうございます。
      熱問題はやはり難しく、今はファンで無理やり空気循環しておりますが、それでも電源、チョーク、ブロックコンデンサあたりは熱々になります。
      OPTも他社製に交換したりしつつ楽しませていただいています。

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