こんにちは!前のめり(@maenomelife)です!
最近私の中では超大口径レンズがお熱です。
M型用の超大口径レンズといえばコンパクトさが売りのM型には少々ミスマッチで、かつ高価な為にあまりポピュラーな存在ではありません。
しかしながらここ数年でこれらの欠点を克服した新時代超大口径レンズが続々と登場しており、ちょうどいい機会なのでまとめてみようと思いました。
実際に所有し使ってきたものは作例をつけたいと思います。
なお、各所で作例は舐め回すように見て、そして店頭で触らせていただいていますが、使ったことのないレンズもたくさんあるのでそうじゃないぞというご意見ありましたら是非よろしくお願いいたします…
一覧という名の私の欲しい物リストですけども。笑
LEICA NOCTILUX
ライカの高性能超大口径レンズがノクティルックスです。
価格も超高価ですが、ライカの送るレンズですから他とは存在感が違います。笑
NOCTILUXという名前も、また良いですよね。Noctはノクターンから来たと言われています。お洒落。
と言いながらフォクトレンダーのノクトンはこのレンズが登場する10年以上前からありましたので、きっとセンスを拝借したのでしょう。笑
LEICA NOCTILUX 50mm f1.2
レンズの王です。異論は認めます。
1966年、世界初の非球面レンズを民生用に採用し誕生した超ハイエンドレンズです。
当時、このクラスでは取り除くことが難しかったというコマ収差(画像周辺の点光源が尾を引くもの)や滲みを非球面設計により取り除き、開放から素晴らしいコントラストを得られるということが謳われています。
しかし、シャープネスが犠牲にされたと言われ、樽の湾曲も目立ちます。
やや荒さが残る感は否めませんが、それも含めてこのレンズの味でありまさに唯一無二と言えます。
その力強さからか、モノクロに定評がありますね。
ライカ初の超大口径でしたが、高性能と470gというのちの歴史を見れば比較的軽量なコンパクトさを兼ね備えた唯一無二のレンズです。
生産数が2000本強と非常に希少で現在では約350万円と高価で取引されております。
LEICA NOCTILUX 50mm f1.0
唯一完全球面レンズで構成されたノクティルックス。
これは、先代の非球面レンズの製造が難しいという問題を解決し開放値もさらに明るくなりましたが、その代わりに580gに巨大化しています。
鏡胴の形から4種類に分類されますがE58とE60の違いだけ気にしておけば大丈夫です。
貴婦人と呼ばれるSummilux50mmのの上位互換のようなレンズで、描写はまさに素晴らしいの一言。
線も細く繊細で、かつボケも先代より柔らかくなっています。
個人的には1番描写が上品なノクティルックスだと思います。
しかし、光源の色によってはパープルフリンジがかなり大きいことも言われているので、肝心の夜間撮影では少し気を使うレンズかもしれません。
E58とE60の違いですが、具体的には難しいですが同じようで違う気がします。
周辺減光はE58の方が大きい。
最近は写真家のハービー山口さんが使われていて人気がうなぎのぼりですね。
素晴らしいノクティルックスE58で撮った写真をたくさん公開されておりますので、是非ご覧になってみてください。
出た当時はその巨大さと、ピントの薄さからくるレンジファインダーとの相性の悪さで長らくあまり人気が無かったようです。
しかし、デジタル機が登場してからは復権し、1番お手頃なノクティルックスにはなっておりますがそれでも60万円〜。
E58は今は100万円〜で、E60に比べ2倍近い価格がついています。
LEICA NOCTILUX 50mm f0.95 ASPH.
現行のノクティルックス。
非球面レンズにフローティング機構も組み込まれ、f0.95という明るさにも関わらず徹底的に収差やフォーカスシフトがコントロールされています。
しかし、それと引き換えに重量は700gともはやM型用レンズとは思えぬほど巨大化しました。
このレンズの凄さはとにかく、超高性能。
開放近接では、被写体が背景からまさに浮き上がる超自然なコントラスト。
そして、シャープでいてぐっと引き込まれるような力強さを私は感じます。
作例は公式を是非ご覧になってみてください。
https://us.leica-camera.com/Photography/Leica-M/M-Lenses/Noctilux-M-50mm-f-0.95-ASPH/Gallery
ただ、何度も言いますが、デカくて重い。
でもその代えがたい描写に多くの方が魅了されています。
価格は新価で140万円程ですが中古であれば100切るくらいで購入できます。
LEICA NOCTILUX 50mm f1.2 ASPH.
最近出た、初代ノクティルックスの復刻版です。
初代のモデルに極めて近い外観と光学特性で復刻され、これまで所持できなきった方には非常に良い選択肢になりました。
詳しくは下記をご覧になっていただければと思います。
価格は99万円です。
日本製 超大口径オールド
国産オールドなf1 classはLマウントがメインですが、ライカマウントで開発されておりMLリング使用でそのまま使えますので紹介します。
実はライカよりも日本のメーカーの方がこの領域を熱心に開発していたので非常に選択肢が豊富です。
といってもこちらもほぼ例外なく高価ですが…
Zunow 50mm f1.1
世界初の超大口径レンズはこのズノーです。
製造数が非常に少ないにも関わらず、レンズ構成が何パターンか存在し、それぞれ描写が異なるのが非常に悩ましいレンズです。
写りは開放では激しい収差の暴力が降り掛かってきますが(笑)、その中にある味わいが見事なレンズです。
各種マウントで製造されておりましたが、Lマウントの価格は70万円は見ておきたいところです。
Canon 50mm f0.95
正確にはLマウントではないのですが、今では多くの個体がMマウントに改造されています。
(当時は規格外すぎて、Lマウントで実現できなかった為)
とにかくデカくて凄いレンズです。世界初のf1切り。
価格は30万円程度。
Canon 50mm f1.2
上の0.95に埋もれがちですが、こちらも非常に明るいレンズです。
当時の販売価格は他の国産レンズと変わらぬ高価なレンズでしたが、数が多いことと0.95というレンズの存在もあり、非常に安価です。
とりあえず安い超大口径が欲しい方はおすすめ!
価格は3万円〜程度。
Nikon NIKKOR-N 50mm f1.1
ニコンの超大口径レンズで、ズノーに次ぐ二番目に誕生したレンジファインダー用超大口径レンズです。
NikonS用が主ですが、Lマウント用もあります。
ズノーとは変わって、非常に安定した写りです。
価格は70万円〜
FUJI PHOTO FILM FUJINON 50mm f1.2
富士フイルムが供給していた超大口径で非常に数が少なく希少です。
写りは非常に安定していて、流石なレンズ。
価格は100万円〜
日本製 新超大口径レンズ
主にはコシナさんが35mmや50mmの超大口径レンズを積極的に開発しています。
現代の技術で設計され、非常に優秀、かつ安価です。
Voigtlander NOKTON 50mm f1.1
姿はノクティルックス f1.0にそっくりですが、重量は428gと軽量に仕上がっています。
描写についても作例を拝見する限りではジェネリック球面ノクチと言って良いと思います。
現代レンズだからといってキレキレなシャープネスを求めてはいけませんが、開放からコントラストが優れて、大口径特有の立体的で迫力のある絵が楽しめるレンズだと思います。
ボケもとても綺麗。
今は中古で6-8万円位ですね。
Voigtlander NOKTON 50mm f1.2 Aspherical
こちらは非球面レンズで、スペック的には初代のノクティルックスがターゲットでしょうが、最新設計で大きさ、重量、描写全てが素晴らしいです。
開放から解像度も素晴らしく、そしてボケも柔らかく美しい。
価格も10万円程度で入手できる超お買い得アイテムです。
MS-OPTICS ISM 50mm f1.0
宮崎光学の超大口径レンズ。
特徴はとにかく軽いこと。その重さたったの178g。
宮崎さん、凄すぎます…
描写は宮崎光学らしく、開放フワっと、絞るとクッキリ。
開放ではフレアが広がりますが芯はシャープで、写真用よりもシネレンズに近いような気がします。
価格は中古ではほぼ見ませんね。新品で17万円程。
この性能と軽さを実現するためにかなり高価なガラスを使っているものと想像しています。
新潮流 中国製 超大口径レンズ
ここ数年一気にやって来た黒船、それとも黄砂?なチャイナレンズ。
そのクオリティはお世辞にも良いとは…なんて言ってられたのももう昔のことかもしれません。
特にこのような中国製フラッグシップレンズはかなり拘って作られているので、私達にはアラも気づけないばかりかとてもよく写り気づけば虜になっている方も続出中です。
7artisans 50mm f1.1
元祖ジェネリックノクチ。
そのスペック的にノクティルックスを意識しているのは間違いありませんが、レンズ構成は全球面のゾナー拡張で全くの別物です。
大きさも程々に抑えられ、重量は400g。
開放からシャープ!とは言うよりは、柔らかくオールド風の味付けのレンズですね。
ボケは非常に柔らかくて、色のりも良いです。
オールド風レンズなので、私をはじめとして刺さる人にはなかなかに良いレンズですね。笑
樽は結構目立ちます。
ただ、せっかくの超大口径レンズなので個人的には開放での立体感がちょっと物足りないかなぁという印象です。
しかしその価格はなんと新品で5万円以下。
この価格を前にしたら、あらゆるデメリットなんて忘れてしまいますよね。笑
TTArtisan 50mm f0.95
こちらはジェネリック現行ノクチ。
とにかくその大きさに圧倒されますが、この物量にも関わらず価格はなんと9万円程。
中華レンズらしく、カラーバリエーションも割と豊富です。
描写については作例を拝見する程度ですが、とても素晴らしいと思います。
被写界深度の薄さを前面に押し出したみたいな印象です。
正直、ハマった時のノクティルックスの表現力と比べると、まだそういう写真は拝見したことがないので個人的には雰囲気重視かなぁという感じでしょうか!
(そりゃあ140万円と9万円ですからね。でも大体のシーンでは見分けつかない自信あります)
中一光学 SPEEDMASTER 50mm f0.95,Laowa 50mm f0.95
どちらもまだ、発表・発売直後ではありますが、上記TTArtisanのライバルになってきそうですね。
今後もこの分野は中国製レンズがどんどん出てきそうで楽しみですね。
超大口径M型レンズのススメ
超大口径はどれも例外なく大きいです。
同じ50mmでもf2とf1クラスでは親と子ほどの差があります。
そんな超大口径レンズの1番の魅力といえば、とにかくその唯一無二の写りです。
この独特な雰囲気は、f1.4クラスでは出てきませんからねぇ…
これまでは非常に高価で選択肢が少なかったものの、中国製レンズが急拡大中で、多くの選択肢の中から選べるようになってきたのも魅力です。
また、高騰していた初代ノクティルックスの復刻だったり、フィルム時では扱いづらかったレンズもデジタルと写らないオールドの組み合わせについての研究も進んできて、書籍等も積極に出てくるなどファンが増え古い玉もとても注目されています。
ライカのボディバランスとしては基本的には少し重たすぎるのは否めません。
しかし、時代も追いついてきたことで、その欠点を補ってなお有り余る超大口径の魅力を楽しめる環境にあります。
最後に、私がこういう条件で買うならば・・というものを1本ずつセレクトしてみます。笑
おすすめ(私がほしい)の超大口径レンズ
○とりあえずライカ純正を
LEICA NOCTILUX 50mm f1 E60 (2nd, 3rd)
最も安価ということもありますけれど、最も扱いやすいというのもその理由です。
扱いやすいといっても、3.5LV8 FRの2シーターみたいな感じですけども。笑
2nd,3rdの理由としては、フードがかっこいいからですね。笑
VISOFLEX使用可能な機種では格段に使いやすさが向上します。
少し手が届かないよという方は、コシナのNOKTON 50mm f1.1も見た目、描写ともに酷似しているのでおすすめです。笑
○ハンドリングと両立したい
MS-OPTICS ISM 50mm f1.0
http://fotoborse.blog.jp/archives/1942235.html
とにかく最軽量なこのレンズは、前玉のインパクトはあるもののその見た目に反してとても軽量で、しかもサイズもコンパクトです。
描写も収差と繊細さの同居が素晴らしいです。
○安価にハイクオリティを
Voigtlander NOKTON 50mm f1.2 Aspherical
このレンズは個人的には隠れ名レンズです。(隠れというほどマイナーではありませんが)
どうしても、TTArtisanのような安価で高性能レンズが注目されがちですが、このレンズの開放性能とコンパクトさと両立した点は本当に素晴らしいと思います。
そして見た目も最高。
○価値のあるものを
Zunow 50mm f1.1
上記レンズはどれも貴重なものばかりですが、個人的にはズノーを推したいと思います。
既に無くなってしまったメーカーですが、ニコンであった技術者が帝国光学研究所に移り世界で初めて世に生み出した歴史的価値のあるレンズです。
特にダブルピンポンと呼ばれる前・後玉共にこんもりと盛り上がった個体の美しさは誰しもが見惚れるでしょう・・。
というわけで独断と偏見で紹介させていただきましたが、今までのレンズでは少し物足りないという方、是非1本お手にとって試してみてくださいね!
コメント