世界にたった1台のLeica I。このカメラの歩んできた歴史を妄想してみる。

こんにちは!前のめり(@maenomelife)です!

 

この間IIIcを買った時に、さらっと

バルナックライカ Leica IIIcは、M型に劣らず最高のカメラでした。
こりゃもう、次は1930年頃に作られていた最初のレンズ交換式カメラ、Leica I(C型) をお迎えしたくなる。

https://maenomeri.tokyo/barnak-leica-iiic/

なんて書いていましたが。。

・・・1ヶ月経たずして手元にやってきてしまいました。

 

いや、言い訳じゃないんですけど、欲しいと書く前から探していたんですよ。本当ですよ。

しかも、この世に存在しない筈のものが奇跡的に。

 

Leica I の歴史

Leica I は結構曲者で、色々前提知識が無いと買うのが難しいんですよ。。

 

Leica I はその名の通り、1925年に発売されたライカの最も最初の量販モデル。

 

それまではボックスカメラ、フォールディングカメラ(蛇腹)、いわゆるブローニーカメラしかなかった中、35mmフィルム(現在のフルサイズの祖となった)カメラとして登場。

このカメラのおかげで、135フィルムが誕生し世界的スタンダードになったのですが、当時はもちろんそんなものはなかったので、専用のパトローネに映画用フィルムを入れて使っていたそうです。

 

1930年頃にドイツの博士が飛行船で日本に降り立った際に首からぶら下げていたのを日本人が目にしてから、一気に火がついたそうな。(後のライカ使いの偉人、木村伊兵衛さんもその1人)

当時のライツ社は優秀な博士やアーティストなどにいわゆるキリ番のライカ製品をプレゼントしており、現在のノーベル賞のような非常に栄誉のある事だったそうです。博士もそのひとり。

 

その最初の製品はA型と呼ばれ、Elmar 50mmf3.5のレンズが搭載されていました。


Leica I(A)

今でいうコンパクトカメラ。

 

このサイズで一般鑑賞に耐えうる解像性能を持っていたのは当時本当に革命的だったそう。

合わせて、単独距離計を取り付けるアクセサリーシューは、現在のホットシューの基礎となりました。

 

しかし、当時のフィルムのISO感度は相当低く、1/20sよりも遅いシャッタースピードのが求められました。

それを改良したB型が発売されましたが、巻き上げとシャッターチャージが同時に行えないという致命的扱いづらさがあり、ほぼ生産されることはありませんでした。


Leica I(B)

今ではかなりのレアアイテム。

 

そして1931年に登場したのがC型で、ユーザーのレンズを交換したいというニーズに応えたものでした。

レンズ交換式がこのカメラで生まれ、ライカスクリューマウントあるいは、ライカスレッドマウント(日本ではLマウントとして普及したが、新しくLマウントが正式にできてしまいややこしい...)として、広く普及しました。

ただし1932年製造のものは、フランジバックの定義がなく、レンズとカメラで個別に最適化されていたので、レンズを買って付ければ使えるものではなかったそうです。

 

1933年には28.8mmにフランジバックが定義され、現在も同じようにレンズを自由に交換できるようになりました。

そして、アクセサリーとして付けていた距離計を本体に搭載したLeica IIにモデルチェンジされました。


Leica DII

このII型が登場してからも距離計が搭載されていないモデル(実質C型と同じもの)はLeica Standardとして、1950年代まで長く作られました。

 

私の特別なライカ

長々と歴史を語ったのは、実は私のライカは非常に特殊な状態で上記に当てはめられないからです。

 

というのも、バルナックライカは、旧来の製品に新しい製品の機構が搭載できるように、後発カメラの設計に互換性を持たせていました。

そのため、距離計が無い、レンズ交換ができない、スローシャッターが無いといった不便なA型やC型は少なくない数がII型、III型に改造されたといいます。

 

中古店を見ているとシリアルナンバーではA型なのに、距離計を搭載したII型になっているという個体は非常に多く見られます。

 

今回、私は1930年製のライカにこだわって探していました。

というのも、1930年は私の祖父の生まれ年で、来年90歳を迎えます。

そこで、その記念に生まれ年のライカで写真を撮ってあげたいなと思っていました。

 

しかし、1930年に製造されていたのは、A型でレンズの交換ができません。

しかも、かなりの年代物なので、レンズ状態もあまり良くありません。

 

値段もバルナックと比べればなかなかに高く、状態の良いM2あたりは買えてしまうことも。

レンズはエルマーのノンコーティングなので、普段使いもなかなか厳しい…

 

また、II型、III型に改造された個体もたまに見かけましたが、便利だけど、やっぱりI型のクラシカルなデザインが捨てがたいなぁ..と。

という葛藤の中で、レンズ付きエルマーの状態の良いものを探していたのですが、銀座のカメラ店で運命の出会いを果たしたのが、このライカ。

 

シリアルナンバーは40万台で1930年製のエルマー付きであることが判断できます。

しかし、この個体はフランジバックの調整された0マーク付きLマウントが搭載されています。

 

0マークは28.8mmのフランジバックが調整されたマウントの証です。

 

そして、非常にマニアックですが、巻き上げノブがA型のものからスリムで引き延ばすことができるII型(スタンダードと同じもの)と交換されています。

コレは使いやすいので大歓迎。

 

そして、一番目を引くのが、このネジ。もともとはA型のレンズ抑え金具を固定していたものでC型以降にはありません。

革にも、金具の跡が残っています。

 

更には、ボディ裏側に、ピント調整時に器具を挿入する穴が残っています。ごく初期を除き、スタンダード型から廃止されました。

A型〜C型にしかありません。

 

こんな感じで、A型だった証拠を残しつつ、現状ではスタンダード型までの特徴を備えています。

後からライツによって改造されたものだと分かります。

 

普通は距離計が搭載された便利なII型に改造すると思うのですが、この個体のようにA型→スタンダード型へマウントのみの改造を行うものは殆ど見ることがありません。

 

唯一ひとつだけ、某バルナック専門店の過去の商品でA型→C型は見ましたが、金具抑えのネジは無いし、巻き取りノブはA型のまま。私のとは違う...

銀座の専門店の方も、この時代のライカは色々あってもう分からないですと言っておりましたね。。。

 

ちなみにWikipediaには出典は書かれていませんが、戦前はI(A)→I(C),スタンダードへ改造を受け付けていたと書かれています。

ライカの改造
戦前の純正改造
ライカIIの設計をする際、設計陣が設定した条件の一つに、ライカIの基本形を変えず、顧客の要望でグレードアップできるという項目があった。これに伴い顧客のライカは直接または代理店を通じて送られ改造を受けた。
ライカI(A)からライカI(C)、ライカI(C)0マーク付き、ライカスタンダード
ライカI(C)からライカI(C)0マーク付き、ライカスタンダード
ライカI(A)、ライカI(C)、ライカI(C)0マーク付き、ライカスタンダードからライカII、ライカIII、ライカIIIa[21]

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%82%AB

 

そうしたらレンズも欲しいよね

なにはともあれカメラが手に入ったらレンズも欲しい。

まぁ、当然ですよね。レンズがないと写真は撮れません。沼です。

 

私は、Lマウントレンズはロシアンレンズしか持っていません。

 

レンズ自体は気に入っているので当面はこれでも問題ありませんが、やっぱり同年代のもので合わせたい。

 

しかし、1930年には交換式レンズは作られていません。A型から取り外されてLマウントに改造されたエルマーだけ。

そもそも、エルマーが嫌だからレンズ交換式にしたというのもあるので。。

 

というわけで、私が欲しいなーと思っているのが、みんな大好きズマールです。

当時の超高級ハイスピードレンズで、1933~1939年まで作られました。

 

このズマールの初期頃に作られたものは先黒ズマールといって、レンズの前面のリングがブラックペイントになているのです。

名前はちょっと嫌らしいですが、これがI型との相性が抜群です。

 

ただし、光学的には普通のズマールだし、数も少ないので、値段がかなり高め。

そして、こいつもノンコートなので、某光学研究所にて研磨とコーティングをお願いしたいところ。。

状態がいいもの、どこかに無いかなぁ。。

 

フィルムライカ沼はここでおしまい

1930年製が絶対だけど、エルマーはなぁ…。でも見た目はI型が良いし。

という私のわがままを満たす理想的なライカに巡り合うことができたのです。

 

世界に1台かもしれない、Leica C型とStandardの装いをしつつ、A型の面影を色濃く残した1930年製のLeicaです。

 

ライカ沼って恐ろしいところですほんと。

 

恐らく私のクラシックライカを探す旅はここでおしまいです。

(お金持ちになったら、分からないけど)

 

相変わらず、デジタルはそっちのけで、年間フィルム100本ペースで撮りまくっています。

しかし、私にとっての最高のフィルムカメラはM3だし、IIIcは余計な気負いをせずに少々手荒にも気軽に扱えるカメラとしてその座は譲りそうにありません。

 

このLeica Iはのんびりと撮影をできる日のみの出番となりそうですが、来年の2020年には90周年、2030年には100周年を迎える非常に歴史のあるカメラです。

 

ミッキーは1928年生まれなので、ほぼ同い年です・・そう思うと、このカメラの凄さが分かる?(笑)

この、歴史を作ったLeica Iというモデルと、100周年を迎えられたらいいなぁ・・と思っています。

 

 

・・・さて、まずはファーストロールを現像して、光漏れの確認とSS調整しないと(汗)

 

このブログはQOL向上をテーマにしていますが、カメラに関しては無駄に手間も時間も食うものばかり。

でもこれが楽しいんですよね。

 

文字でただみるだけでなく、実際に歴史に刻まれた機械を手にとって愛でることで、よりカメラという物の本質を理解できます。

まさに温故知新ってやつですかね。

 

学びて思わざれば、すなわちくらし、思いて学ばざれば、すなわちあやうし。

文字を読むだけで自分で考えることを怠ればは知識は生かされず、また、考えるだけで文字を読まないこともまた判断がうまくないよと。

ライカの歴史を本やこのLeica Iで学び、カメラの本質を考える。

カメラの真理にまた一歩近づけた気がします。

 

これからも孔子の言葉を信じて、沼を邁進していきたいと思います。

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