前のめりです。
私は数年前に一眼レフカメラから乗り換えてLeica M-Eというデジタルカメラを購入しました。
そして、ライカにすっかりのめり込んでは、デジタルではM9-P,M10-D、フィルムでもM2,M3そして旧機種のバルナックライカを使ってきました。
しかし、流石は歴史の長いライカ。
特にまだ右も左も分からないよという方は、レンズは同じ焦点距離や明るさでも選択肢がいくつもあり、何を選べばいいかが非常に難しい状態ではないでしょうか。(知ってゆく過程が面白いのですよね!)
それに加え、ライカはボディもレンズも非常に高価な為、私のようなただのサラリーマンではレンズを一つ買うだけで一苦労です。
レンズの選択には正解もハズレもないのですが、私は一通り買ったり借りたりしてライカのレンズを一通り使用しました。
その経験の中で分かった知識を基にM型ライカの一生使える、最初に選んで欲しい一本をご紹介します。
今回はM型ライカに合わせるべきレンズとして35mmを選定しています。
バルナックライカまたは、LEICA M3を使う予定の方は35mmは使いづらいので、50mmの使用をおすすめします。
最初の1本に選ぶべき焦点距離は?
理想は何本ものレンズを揃えて様々な状況にも対応できるようにすることです。
しかし、それは正しい一方で、ライカのスタンスには合わない点もあります。
ライカは売りの機動性の高さからスナップフォト向けのカメラと言われています。
そのため、何本もの交換レンズを持ち歩いて街を歩くというよりは、1~3本のレンズに集中するスタイルの方が合っていると言えます。
私自身、普段はレンズを多くても2本しか持ち歩いていません。
それに加え、最初から色々な焦点距離を使うよりも一つの画角を極めた方が、自分に合う撮影スタイルを見つけやすくなります。
ライカで最高の写真を撮るためには妥協した複数のレンズでなく、信頼できる一本のレンズが必要だと思います。
ライカレンズの主な焦点距離は
- 28mm
- 35mm
- 50mm
- 75mm
- 90mm
- 135mm
というラインナップになっていますが、この中で最初の1本を選ぶのであれば私は35mmを推奨したいと思います。
35mmは一眼レフカメラにおいては、“広角“に分類される焦点距離です。
しかし、レンジファインダー機のライカにとって35mmという画角は非常に使いやすく人気があるため、多くの種類のレンズが揃っています。
M型ライカのレンジファインダーは上記28mmから135mmまで対応しておりまずはぜひ店頭で実際に目に見てみることをオススメしますが、35mm若しくは50mmが最もレンジファインダーでは世界を覗いて見たままの景色を切り取るという感覚を感じられると思います。
スナップフォトがメインとなるライカは35mmの使い勝手は非常に良いのです。
勿論、同様に人気なのが50mmです。こちらも標準画角と言われており定評がありますが、50mmも私は実際に使用した上で、35mmのほうが最初の一本にふさわしいと考えました。
理由は2つです。
まず1つ目として、レンズサイズが大きいことです。
焦点距離が長いので、基本的には当然50mmのレンズのほうが大きくなります。
レンズが大きいと、持ち運びにも不便ですし、重量も重くなります。(50mmには沈胴レンズという収納できるレンズもあります)
最初の1本目としてはやはり、コンパクトさが売りのライカを選んでほしいと思います。
2つ目の理由としては、画角が普段遣いには少し狭いと思います。
まず、レンジファインダーの見え方ですが、35mmは50mmと比較してファインダー内の8割ぐらいが写るので非常に見やすく感じます。
また、スナップでは立ち止まりもせずに動きながら写真を撮ることも有ると思いますが35mmの方が広く、そしてピントも深いので撮影しやすいというメリットがあります。
画角のイメージを例えると、レストランで撮影をするとして、50mmなら料理をクローズアップした写真を、35mmでは料理の乗ったテーブルの上にフォーカスした周りの人やお店の雰囲気といった風景を撮ることになります。
そのため、料理を撮りたいと思う方もいるかもしれませんが、実はライカのレンズは寄れないという非常に大きな欠点があります。
ですので、ライカで料理をクローズアップして撮りたい場合には、75mmとか90mmの最短撮影距離が0.7mのものを選ぶ必要があります。
一眼レフやスマホに慣れた身体には信じがたいですが、M型ライカでは、スイーツもラーメンも望遠レンズを使わないと大きく撮れません。
その為、ライカは被写体との立ち位置をよく考える必要があるのですが、人間の普段ぼんやりと周りを見ている時の視野角は35mm相当と言われています。
人間の視野角と言うのは、注視する事で変動します。
例えば道の向かいから歩って来る人が来たらその人を見るときに50mmになったり、遠くの飛んでいる飛行機を見て2000mmになったりするので、目で見て被写体を探す時、普段の視界と近いというのは重要だと思うのです。
まずは視野に近い35mmを買って、そこから必要な画角を揃えていくべきだと思います。
レンズタイプを選ぶ
今回ご紹介するライカのレンズは大きく分ければ、オールドレンズ、デジタル対応レンズ、社外レンズの3タイプになります。
オールドレンズ
ライカのオールドは主に1950~70年頃に多く作られ、今もなお多くのレンズが市場に出回っています。
コンピューターも無く、手計算で行う古い設計のレンズであり、開放時の解像感の低さや、ボケが煩かったり、二線ボケになったり、フレアも盛大に出たりと、現代レンズに比べると収差がかなり出てきます。
しかしながら、その描写の味わい深さが認められてきて、最近ではライカのオールドレンズの価格は右肩上がりです。気になる方は一刻も早く探しておかないと二度と飼えなくなってしまうのではないかというほど。
ちなみにこの時代は、ようやくISO10のカラーフィルムが登場したような時代です。
モノクロフィルムが主流の時代のレンズですので、カラー写真を撮影するとコントラストが低くなるのはカラーを想定されていないものは仕方ないものもあります。
ライカのカメラはフィルムカメラは勿論のこと、デジタルカメラでも他社では考えられないほど、フィルムカメラのレンズの魅力を最大限活かせるように莫大なコストがかけられて製造されています。
ですから、デジタルカメラだからといって古いレンズは性能が発揮できないということはまったくありませんし、むしろデジタルの高解像センサーで撮影できるようになったからこそ、オールドレンズの価値が再発見されてきているとも言えます。
ライカは性能も然るところですが、趣味の側面が非常に大きいカメラです。
そのため、どんな屁理屈よりも、面白い絵が撮れるか、撮影していて楽しいかの方が重要だと思います。
また、オールドレンズはその作りも魅力です。
オールドレンズはシルバーの真鍮製のものが多く、丁寧に手入れされた真鍮製のレンズは触った心地よさが違いますので、是非一度触ってみてください。
デジタル対応レンズ
ここで言うのは主にM8から採用されている6bitコードマウントが付いた設計の時代のレンズです。
ライカのレンズ設計は基本的には数年~下手すれば数十年変わりません。
そのため、新品で売っているレンズでも、中古で10年ほど前に製造されたものであれば半額以下で手に入ったりします。
こちらは、ASPHアスフェリカル(非球面)レンズが用いられていることが多く、開放からバシッと解像し、コントラストや周辺の画質はオールド比較して明らかに向上しています。
ASPHレンズの写りはまさに優等生です。
浮き出るような被写体に、艶のある質感、美しく流れるボケはライカの絵作りと相性が良いのは言うまでもありません。
ハッとするような、涙が出るような描写は間違いなく現行レンズに軍配が上がります。
社外レンズ
これはライカ以外のサードパーティによって制作されたレンズです。
現在主流なのは、日本のコシナ製ですが、近年では中国製レンズも増えました。
コシナはご存知でない方もいるかも知れませんが、コシナは日本の光学メーカーです。
カールツァイスやフォクトレンダーのブランドレンズ販売権を持ち、製造販売しています。
コシナ製は品質の良さ、価格の安さに加え、エッジの効いたモデルを多く発売しているカメラ好きにとって非常に貴重なメーカーです。
オールドレンズをオマージュし、あえて旧来のレンズ構成で作成したものから、性能を追求したモデルまでそれこそライカ本家を凌ぐほどのたくさんのラインナップがあります。
また、中国製の特徴はなんといってもその値段で、ライカの同じスペックのモデルと比較して、1/20もの値段で購入できてしまいます。
現状では、面白みが少ないなと感じますが、光学技術も成熟してきた現代では、いずれ中華製レンズが追いつき、店頭に並ぶのが当たり前になる時代も遠くないのではないでしょうか。
補足:ライカのレンズ名について
ライカのレンズは他社とはやや異なる特徴的な名前が付けられています。
現在のライカのレンズ名は解放F値の大きさで名付けが変わります。
~F1.3 ノクティルックス
~F1.9 ズミルックス (基本F1.4)
~F2.0 ズミクロン
~F2.8 ズマリット
そこに加えてテッサー型のエルマー、エルマリートが現在の主なラインナップになっています。
しかし、オールドレンズを探す場合には少し分かりづらく、ズマー、ズミター、ズマロン、ヘクトール、タンバールなど、レンズ固有に名前が付いているものもあります。
ライカレンズは有名なので、カメラ好きの方であれば聞いたことがある方も多いのではないかと思いますが、名前を覚えれば解放F値が分かるようになります。
それゆえライカレンズは“ズミクロン35mm”というように、F値をあえて言わないようなことが良くあります。
ズミクロンは交換レンズではF2しか販売されていないので、語る必要が無いのです。
この辺の名付けはよく聞くので、覚えておくと便利です。
ライカの35mmオススメレンズ
上品な描写を持つ「Summilux 35mm 2nd」
何を隠そう、私が最も好きなライカのレンズです。
オールドレンズでライカのロマンを感じたいあなたには、ズミルックス 35mm 2nd(球面ズミルックス )をオススメします。
俗に言う滲み玉。銘玉でかつ癖玉という名高い?レンズです。
1961年から30年以上も販売され続けた超ロングセラーモデルです。
ライカのレンズといえばオールドレンズを含めてもかっちりとした描写のレンズが多いですが、このレンズ開放ではヴェールをまとったような柔らかな描写になります。
この柔らかさが風景にも人物撮影にも独特の魅力を生み出します。
開放では柔らかな描写ですが、1段、2段と絞ると非常に立体感の感じられる素晴らしい描写になります。
オールドレンズの特徴でもある、解放と絞った時の2種類が楽しめるので、1度で2度美味しいレンズです。
そして、このレンズの最も推したいところがそのコンパクトさ。
ライカの標準装着レンズはコンパクトさが正義です。
写りが良くても長くて重かったら出番は圧倒的に減ってしまいますから、これは非常にポジティブなポイントです。
価格は、2021年現在では約40万円です。
実は、この記事を執筆した2018年時点では20万円程だったのですが、この数年で倍近くまで高騰してしまいました。
安かった理由はロングセラーゆえの玉数の多さによるもの、開放では柔らかな写りがライカらしからぬ(昔基準で言えば性能が低い)ものだったからと言われますが、近年はその描写の奥深さが認知され始めています。
また、デジタルライカはM8,M9,M(240,262)等、M10より古いデジタルボディだと内部に干渉する可能性がありますが、ライカに持ち込めば改造が可能です。
クセが強いからこそ、使いこなしたいし、愛せる。そんなレンズです。
(以下高騰前の文章)
古くて性能の悪いレンズにそんなにお金を出せないとお思いの方もいるかも知れません。
しかし、最後により詳しくまとめますが、これからの時代はレンズに価値が集約していきます。
この球面ズミルックスは、その性能と圧倒的な特徴を兼ね備えた、未来永劫価値の衰えないレンズであると思います。
銘玉に隠れた優等生。「SUMMARON 35mm F3.5」
ズマロン35mm はズミルックスやズミクロン といった、超有名レンズの陰に隠れてしまった非常に不運なレンズです。
1949年の登場直後こそは、ライカの35mmのフラッグシップであり人気があったようです。
しかし、数年後には、先に紹介したズミクロン1st(1958年〜)、ズミルックス1st(1961年〜)という超銘玉が登場し、F3.5(後にF2.8)という実質的に下位スペックのズマロンは、地味な存在となってしまいました。
現在の中古相場は10万円程度とやや安価です。
ズマロン35mmは、下記の3種類が存在します。
- 35mm F3.5前期モデル
- 35mm F3.5 後期モデル
- 35mm F2.8
主な違いは銅鏡の作りであり、F2.8のものはズミクロン1st(40万円〜)と同じものとなっているため、中古相場は高くなっています。(約20万円)
光学設計はどれも変形ガウス6枚構成ということは変わりませんが、F2.8については、硝材技術の進歩により明るさが改善しましたが、解像度はF3.5のモデルの方が評判が良いです。
それぞれ、レンズの外観が異なるので、お好きなものを選ぶのがいいかと思います。
なお、同じ35mmにはエルマーというレンズもあるのですが、エルマーはテッサー型というレンズ構成を採用しており、性質が異なります。
このズマロンは、エルマーのテッサー型を改良して設計されており、解像度や収差が大きく改善しています。
とはいいつつも、1950年頃に製造されているオールドレンズのため、現代のズミクロンと比べれば、やはり開放付近ではやや甘いところもあり、また、カラーのコントラストも低いです。
しかし、特筆すべきは、モノクロでの階調表現です。
このレンズで撮ったモノクロ写真は、他のどのライカレンズよりも黒が鮮やかに写ると言われています。
(私はMonochromeを所持していないのでその恩恵はなかなか授かれませんが・・)
ただしレンズは暗いので、高感度に強いM(Typ240)以降モデルじゃないと夜には使い物にならないかもしれません。
F3.5という無理のない設計の為、解放から収差も少なく非常に優秀ですが、日中はF8程度まで絞れば、周辺の解像度がかなり良くなるようです。
このレンズは、中玉のクモリが多いので、店頭での購入する場合はスマホのLEDなどを両側から当ててよく状態を確認してから購入をするようにして下さい。曇りやすいのはどうしようもありません。
相場も安いですから、状態の良い物を見つけてクリーニングを行うのがいいのではないでしょうか。
製造はどの個体でも1960年代までのものとなるため、ライカが一度倒産する前の真のライツのカメラレンズということになります。
製造から60年も経過したレンズを使えるという幸せ、ライカのロマンとノスタルジーを感じることができます。
ライカの性能を引き出す。「SUMMICRON-M 35mm ASPH」
新しいレンズでオススメなのがSUMMICRON-M 35mm F2 ASPHです!
こちらは、新モデルと旧モデルの2種類があるのですが、私がオススメしたいのは旧モデルの中古品です。
新モデルとの違いとしては、旧モデルは無くしやすい、壊れやすいプラフードからメタルへの変更、光学設計の若干の改善で周辺画質の向上、シルバーの真鍮製からアルミ合金製への変更による軽量化が主です。
それだけの違いで、新モデルは約50万、旧モデルは25万と半額になります。
2代目の6枚玉や3代目の7枚玉ズミクロンよりも安い値段で最新の光学系が手に入ってしまうのです。
そしてこのモデルのシルバーは重量こそ100g弱重くなりますが、真鍮の質感が良さを求め、あえて最新でなく旧モデルであるこちらを選択する方もいます。(私もその一人)
このレンズは製造時期によって6bitコードが有りのモデルと無いモデルがありますが、性能に差はありません。
このレンズの特徴は解放でのピント面の鋭さと、硬すぎずやわらかすぎない絶妙なボケです。
被写体は他のレンズでは撮れないような立体感や艶感が感じられ、そこに存在していたことを鮮明に記録してくれます。
ピント面の鋭さと同時に、ふわりとした柔らかさも上手く表現してくれます。
このレンズは積極的に解放で使いたくなる魅力があります。
いかにもライカらしいレンズで、開放からのキレと、ボケの美しさはどんな場所でも戦えます。
余談ですが、このレンズの光学設計は非常に特徴的で、両側が凹レンズで挟まれています。つまりレンズの表面が窪んでいます。
この凹レンズ挟みはズミルックスの3代目にて開発されたレンズ構成で、これまで7枚玉まで採用されていたガウスタイプのズミクロンのいわゆる王道とは大きく設計が異なっています。
以降、Asphモデルに多く採用されライカの特徴的なレンズ構成になっています。
このレンズの非球面は、両面凹レンズの為、周辺画質を補正するために用いられていると言われています。
この非球面のおかげで、周辺の画質が良好なだけでなく、解像度とボケという相反する特性について、非常に柔らかくピント面からなだらかに流れる美しいボケを実現しています。
オールドとは異なり解放からピント面はしっかり解像し、コントラストも良好です。
また、高価なのでここでは紹介しませんが、予算とサイズ感が許容範囲内ならSUMMILUX 35mm f1.4 ASPH.も強くオススメしたいと思います。
新旧型でフローティングエレメント等の微妙に仕様が異なりますが描写はほぼ同じで、ライカで最も美しい描写とも言われます。本当に素晴らしいレンズです。
最もスマートな選択肢?「Nokton Classic F1.4 (II)」
最後に紹介するのが、ライカではなくフォクトレンダーの Nokton Classic 35mm F1.4 です。
最近II型にモデルチェンジをしました。私が所持しているのは旧型です。
このレンズは上でも取り上げた球面ズミルックスをオマージュしつつ現代の光学技術を用いて作られたと言われている非常にユニークなレンズです。
なんと新品でも5万円強で購入できます。
レンズ構成自体は、オマージュしたズミルックスというよりは、上で少しだけ出てきたライカ史上最高傑作との声も多い伝説級の銘玉ズミクロン8枚玉によく似ています。
ズミクロン8枚玉や最初に紹介したズミルックスは40万円は下りませんので、35mmの8枚玉を5万円強で買えるのはオトクすぎます!
解放F値がオリジナル8枚玉ズミクロンは2.0なのに対し、こちらはF1.4に向上していますが、こちらは硝材の進歩によるところが大きいそうです。
解放での写りは全体的にふわっとしています。
しかし、被写体は浮き出るような素晴らしい描写が味わえます。
オマージュ元の球面ズミルックスと比べると、決してじゃじゃ馬というわけではなく、かつ解放での収差は適度に残されており、現代的に解釈されたレンズといった感じです。
そして、オールドレンズの特徴にあるような絞るごとに画質が変化していくのも楽しめます。
この価格にも関わらず、F1.4の明るさもあり、夜間でも手持ちで様々なシーンを撮ることができます。
球面ズミルックスは所持していませんので、手持ちのオールドレンズのズマロンと比較してみましたが、解像感もコントラストもNoktonの方が性能が上です。
この辺はしっかり現代レンズだと感じます。
次に鏡筒の作りですが、こちらはコシナ製で上質です。
銅鏡はオール金属(アルミ合金?)で、絞りのクリック感や、フォーカスリングの粘りも素晴らしいです。ライカレンズのように指掛けも付いており、フォーカス操作を快適に行うことができます。
コシナは単焦点MFレンズを主として、50万円を超える超高級レンズも出している、ライカにも負けない一級の企業です。
そして、このレンズは作りの良さだけでなく驚くほどにコンパクトです。
どのライカレンズよりもコンパクトだそうです。
このレンズのコーティングは、SCとMCがありますが、私はSCをオススメします。
S.Cはシングルコートの略で、昔ながらのモノコートに近くフレアも出て、コントラストもオールドレンズに近い写りになります。
作りの良さ、最安、最薄、F1.4、解放と絞り二面性と非の打ち所がないレンズです。
本当に唯一の問題を挙げるとしたら、それはこのレンズがLeicaではないということです。
最も買いなレンズはコレだ!
ズバリ、ライカで最も買いなレンズは・・・
SUMMICRON-M 35mm F2 ASPH
理由は、すべてのバランスが最高のレベルで備わっていることです。
価格、レンズのサイズ、解放での描画、ボケの安定感、鏡筒の質感、これ1本でいつでもどこでも戦える事間違いありません。
今回は1本を選ばせていただきましたが、今回選定した4本はどれを選んでも後悔がないはずで、他の3本を選んでも間違いないと思います。
突き抜けた個性、オールドながらの上質な写り、明るくてコンパクトで高レベルに纏まった描画性能、どれも甲乙捨てがたい個性を持っています。
というわけで、ライカ入門者にこそオススメしたいレンズピックアップしてみました。
自分の目指すスタイルやシーンは十人十色だと思いますので、絶対にコレ!というものは言いづらいのですが、Summicron-M 35mm F2 ASPHについては誰が買っても後悔しないレンズのはずです。
さいごに:レンズの資産価値について
最近オールドレンズの高騰が著しいですが、それはその良さが認められてきている証でもあります。
私はオーディオマニアでもあるのですが、カメラレンズってオーディオと似てると思うんですよね。
カメラやオーディオだけでなく、ものづくりの分野というのは技術がいずれ成熟してきて、伸び代が少なくなっていきます。
そうなると、一般ユーザーにはとにかく安くて性能がいい高コスパなものが受け入れられ、そしてそれは、イノベーションによって駆逐されます。
カメラ技術は一般ユーザーはスマホやウェアラブル、将来は体内埋め込みデバイスに適用され、写真を撮るためにカメラなんて買う人はいなくなります。
しかし、写真専用機としてのカメラがこれらのデバイスの性能に劣ることはレンズの物量から見て絶対にありません。
そのため、写真を撮る機械として最高性能のカメラというのはプロ向け、マニアに支持され、間違いなく残り続けます。
そしてマニアは、最高性能、最高品質というだけでなく高価であることや、クセがあったり古いもの、希少なものなど愛着が持てるものを求めます。
オーディオも今の時代、普通の人はイヤホン、ヘッドホンで音楽を聞いています。
しかし、どんなにいいヘッドホンでも、せいぜい数十万円です。(勿論数百万の値が付けられたもっと高価なものもありますが、ほんの数種類)
それに比べて、床置きスピーカーのようなピュアオーディオの世界はそれなりのものを買えば安くてもスピーカーとアンプのセットで100万は下りません。
一般住宅に1000万超えのシステムを組む人もザラにいる世界です。
そして、そんな世界では古いオーディオシステムが今も現役どころかプレミアが付いて評価されているものもあります。
現代のスピーカーはハイレゾの40kHzに対応したりと着実に進歩を重ねているものの、物量の投入量や、妥協のないコンセプトは現代の物よりも魅力的な面も多いのです。
そんな新技術と、ノスタルジーが同居するオーディオ業界には原音再現に忠実なアキュフェーズやB&W、トラディショナルな設計で最高品質のマッキントッシュやタンノイなど、様々な嗜好性が存在しています。
オーディオの世界においてこれらの企業のように、今の時代に評価されているいいモノというのは、最高性能だけでなく、妥協のない最高品質や特徴があるということです。
面白いのは、オーディオ業界では、生産能力が高い大企業ではなく、ハイエンドの製造比率が高い中小企業の方が生き延びているということです。
大企業は売上高が重要ですので、縮小するマーケットでは、開発費用がペイできずに撤退を余儀なくされてしまうのです。
性能は高かったにも関わらず、音響専業メーカーを除く日本の大手電機メーカーはほぼ全て撤退してしまいました。
(ここ数年は、ハイエンドモデルを復活させて復権を狙っているようです)
脱線しましたが、カメラレンズも同様に、市場規模がどんどん縮小していく中生き残るのはライカのような、高性能と高品質イメージの強いブランドを持つ企業になるはずです。
(オーディオよりもプロ需要は遥かに大きいと思いますが)
日本のメーカーのレンズを見てみると、NikonのZ用レンズや、SONYのGMレンズ等、非常に賑わいを見せていますが、私から見ると、とにかくデカい・・・でかすぎる。
その点、ライカはMF、コンパクトを貫き、他社にはない魅力(ブランド)を築いています。
一般家庭では、床置きの大きなスピーカーで音楽を楽しむ家庭なんて同年代では私以外に聞いた事がありません。
今時、大きなスピーカーを置く家なんてありませんし、それどころか、コンポやCDプレーヤーすら今はスマホで代用できます。
しかし、その一方で現代で新しくレコードプレーヤーが発売されたり、10万円以上するCDプレーヤーがに売れたりしています。
それは、音楽を聴くという行為に対して最高の性能、品質で楽しむことができるのは、コンサートか、大型のスピーカーが最も優れているからです。
なので、現代になっても、コンサートもスピーカーも嗜む人は減ろうとも消えることはないのです。
カメラもいずれは、金銭的余裕がある人の嗜みになっていくと思います。
それは、デジタル時代の今急速に近づいてきています。
そういった世界がやってきた時のためにも、自分がいかに愛せるものを見つけられるかということが、今の時代の、特にライカのレンズ選びには必要だと感じました。
今回チョイスしたレンズはどれも最初の1本に最適でありながら余計なレンズを買う必要のない、完成された一品だと思います。
しかし、ご紹介したのはいわばライカの入門者向けのようなもので、この先には一本100万超えのノクティルックスやアポズミクロンのような世界が存在しています。
例えばノクティルックスの初代モデルは500万円もの値が付きます。
ライカはレンズの利点と存在価値を明確に理解していないと、底なし沼に落ちていってしまいます。
ただのコレクターにならない為にも、最初の一本をまずはとことん使いこなして、足りないものを補うように、新しいレンズを探していきましょう!
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