戦前型 Hugo Meyer Goerlitz Primoplan f1.9 について

私が愛してやまない1940年の第二次世界大戦以前に製造されていた、Hugo Meyer GoerlitzのPrimoplan f1.9シリーズを紹介します。

なお、f1.5と戦後のもの、21世紀になり復刻生産されたものも含めると多岐に渡ってしまいますので、別物としてここでの紹介は省きます。

 

Contents

Primoplanについて

このPrimoplanは近年急速に人気が拡大しているレンズで、私もそんな魅力に取り憑かれた一人です。

 

このレンズは1930年代に製造されましたが、当時の写真レンズは収差の少なさや解像度の高さが絶対的な価値を誇っていました。

当時のMeyerはツァイスやシュナイダーといった2強に食らいつく為にこの2社よりもf値を0.1明るくかつ安価にすることでシェアを稼いでいました。お世辞にも一流とは言えませんね。

 

そして、戦後はソ連下におかれ完全に安物を大量生産するメーカーに成り下がってしまい、日本メーカーが世界の覇権を握る頃には有象無象のひとつになりました。

通称:駄メイヤー。甘イヤー。

 

しかしレンズ性能はほぼ頭打ちとなりフィルムがデジタルセンサーに置き換えられ、これまでの理想が当たり前になった現在では、Meyerが狙っていたかは定かではありませんがその当時は認められることが殆ど無かった解像度だけでない独自の描写に気づく事ができたのかもしれません。(ツァイスで素晴らしい性能を持つ数々のレンズを生み出したDr. Paul RudolphがMeyerで決して性能が良いとは言えないPlasmatシリーズを精力的に開発していたのがとても興味深いことです。)

 

そんな中でPrimoplanは当時新しかった6x6cm,6×4.5cmや35mm判のレンズ交換可能な高級機に向けて投入していたもので、Trioplan,Primoptar等を従えたMeyerのレンズ群でも最も高級な主力レンズでした。

 

バリエーション

※戦前に製造されたPrimoplanの希少度は生産数の多いライカやツァイスのレンズの比ではないので、都内のカメラ店を数ヶ月探し回れば見つかる程度のものを★1としています。

 

3cm f1.9

ebayより

一応f1.9なのでバリエーションに入れていますが、f1.5と同じくArriflex STマウントのレンズであり、かつMFT程度のイメージサークルしか無い為、入手予定はありません。レンズ構成も不明です。

製造数はかなり少ないと思われ一般店に並ぶことはまずありませんが、欲しがる人がいないので海外の販売サイトを探せば割と簡単に手に入ります。

 

Arri ST 3種類 ebayより
希少度★★★
マウントArri ST
製造数不明
価格5~30万円程度

 

5cm(2inch) f1.9

最初に販売が開始されたPrimoplanであり、かつ最も希少なレンズです。

1934年にごく少数のライカとコンタックスマウントが製造され、後に少数のExaktaが作られました。

戦火をくぐり抜け現存する個体がどれくらいあるのかは未知数です。

 

最も最初に作られたのはライカマウントと言われていますが、現状では私のコンタックスマウントのシリアルナンバー(下記記載)よりも若い番号のLTMは見たことがありません。

Primoplanの設計はZeiss(Dr. Robert Richter)から譲り受けている説が濃厚なので、当初はコンタックス向けにで試作していたのではないかと私は予想しています。

出荷台帳等で詳細がわかる方がいたら是非教えて下さい。

 

 

希少度★★★★★★★
マウントCONTAX C
LTM
EXAKTA
製造数不明
価格~600万円程度
私が確認した製造番号帯のメモ
LTM#64368x
#65619x
#65620x
#67327x
#67328x
CX#64165x(所有)
#691000~00x
EX#71890x
製造数32?
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5.8cm f1.9

Kine Exakta用に1936年に販売されました。

5.8cmという焦点距離は一眼レフユーザーには割と馴染み深いものと思いますが、当時Primoplanも世界初の35mm版一眼レフであるKine Exaktaのフランジバックに対応するために焦点距離を延長して再設計されました。

 

一般的に戦前のPrimoplanといえばこのレンズです。

最も入手は容易ですが、描写は5cmよりもやや微睡んだような柔らかさがあり非常に美しい描写だと思います。

希少度
マウントExakta
製造数2-3000?
価格~30万円程度
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58mm f1.9

周知のとおり、戦後Meyerは低質化の一途を辿りますが、戦後のごく初期のものはHugo Meyerのガラスが使われているなどと言われ高値が付くこともありますので、一応一覧に載せておきたいと思います。

表記は戦前同様にMeyer GorlitzでMeyer-Optik表記以前の過渡期のものです。距離表示はcmからmmに変わりました。

 

この58mmは戦後にレンズがコーティング付きとなり生産が再開された1949年に出荷された極初期の個体です。

#1098562から15個ほどノンコート(赤V無し)の58mm表記の個体が存在し、その後#1098917から100本、#1101792から200本コート付きで出荷されますが、これはそのうちのひとつです。

といっても、そんな何百本も作られた後の個体が戦前のガラスで作られたとも思えません。

 

鏡胴は戦前型とは異なりアルミの低質なものです。

戦後で金属資源が乏しかったのだろうと思われますが、お世辞にも高級感があるとは言えません。

実際に組み上げてみるとわかりますが、非常に作りが悪いです。(ネジの締め加減で歪んでフォーカスが重くなったりします。

初期のものは指標がVになっています。

 

LTMも一応存在し過去にオークションで一度のみ存在が確認されていますが、戦中戦後の製造と見られ一切の詳細は不明です・・。

Leitz Photographica Auctionより
希少度
マウントEXAKTA
LTM?
製造数EXA300(1949のみ)
(1950年製だけで+4000)
価格5-10万円程度

 

7.5cm(7.3cm,3inch) f1.9

7.5cmですが、LTMでは7.3cm表記、2inch表記も確認されています。

距離計連動のLTMが非常に少数作られ、その他大多数は共通マウントのExakta、ないしはLTM(距離計非連動)になっています。

 

またごく少数、Arriflex向けのクロームメッキとArriカラーのブラウンカラーの個体も確認されており、こちらはArriflex専用鏡胴です。

描写は中望遠なのに暴れん坊な事で有名な戦後版とは傾向は似ていますが異なります。

戦後型と比べれば落ち着きがありつつとても中望遠による美しいボケが味わえます。

 

一度触ってみていただきたいですが、残念ながらExakta版ですら普通のカメラ店に並ぶことはありえない程希少です。

 

距離系連動LTMは当時MeyerレンズをイギリスのA.O ROSSがライカAに装着したりLTM化する改造を行っていたという噂があり、この7.5cmも数が少ないことから後改造ではないかと言われています。

しかし、製造番号が#670xxx付近、それ以外は#920xxx以降に多く製造されておりかなり番号が離れていることから鏡胴の製造メーカーの断定まではできませんが後改造ではなさそうですね。

 

希少度EXA★★★
Arri ★★★★★★
LTM★★★★★★★
マウントArriflex ST
製造数EXA(+LTM) 500?
LTM ~100
価格EXA 60万円程度
LTM 3-500万円程度

8cm f1.9

Leitz Photographica Auctionより

7.5cmよりもよく見るのがこの8cmのPrimoplanです。

このレンズは5cmについで販売され、初代のExakta(127フィルムのもの)に供給されました。

このExakta VP(Vest Pocket判)のハイスピード判であるNacht Exaktaに供給された4本のレンズの中で最も安価であった為、それなりの数が売れたのではないかと思います。

(その他レンズはBiotar,Xenon,Super-Six)

当時はその他よりもかなり安い価格でしたが、21世紀になりその中古相場は逆転しています…

希少度
マウントEXAKTA VP
製造数1000
価格50万円程度

10cm f1.9

Primoplanの中では後発でPrimarflexというレンズに供給され、その後Exakta66や35mm判Exakta等にも供給されました。

私が所有するのは戦前型Exakta66マウントのものです。

 

しかし、カメラ自体が殆ど製造されなかったので、レンズも少数しか製造されませんでした。

レンズエレメントだけで見れば、5cmに次いで希少と言えます。

 

 

希少度★★★★★
マウントPrimarflex
Reflex Korelle
Exakta 66
Exakta
beier Flex
製造数400程度?
価格~80万円程度

18cm(6inch) F2?

あるとかないとかこの18cm版ですが、残念ながら私は画像すら拝見したことがありません。

古くからMeyerに詳しい方によれば確かに存在はするそうですので、機会があれば是非使ってみたいです。

 

まとめ

Meyerといえば世間一般では安価に面白く写る戦後型ですから、この戦前型に対する需要があるとは正直思っていません。

しかし、戦前型のレンズは戦後型のような豪快さこそありませんが、味わうほどに違った発見があるような奥深さを秘めています。

 

また、PrimoplanはKino-Plasmatのように高級車が買えるような値段になってしまったものとは違い、ライカのレンズと同じくらいの価格で買えるので一般人には手が届かないという訳でもありません。

 

それにマイノリティを求める人にとっても良い選択肢かもしれません。

上記に記載しましたが、製造数は多くてもせいぜい数千本程度で、例えばライカでいえば希少だと言われるTambarの方が多いくらいです。

しかも昭和のバブル期にライカは大量に海外から持ち込まれましたが、Meyerに関しては当時殆ど関心を持たれていなかったので国内で古いものが見つかる例もまずありません。

 

Meyerに関する情報はあまり多くないので、もし、戦前のPrimoplanを探しているよという方がいらっしゃれば参考になれば嬉しく思います。

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