こんにちは!前のめり(@maenomelife)です!
写真作品を作ろうの第2弾。
私が作品作りに使用しているハーネミューレの写真用紙を見ていきたいと思います。
ハーネミューレについて
ハーネミューレはドイツの製紙会社でその創業はなんと1584年。
現在では、絵画・版画等の高品質なアートペーパーを製造する企業として知られているそうです。
そんなハーネミューレが開発したのがFine Art InkjetPaperで、インクジェットプリンターでの印刷物を高品質なアート作品にすることができるようになりました。
ハーネミューレの販売する写真用紙の種類は豊富で違いは説明文を見てもよく分かりませんが、とりあえずはすべてがアートクオリティなので私のような違いをよくわからない人間でも間違いがないかなと思って使っています。
ちなみにハーネミューレは海外の輸入に頼っているからか、そもそも小規模の企業なので製造が少ないのか分かりませんが、欠品もかなり目立つのは欠点かもしれません。
勿論、国産の作品用写真用紙はエプソンやキャノン、ピクトリコ(三菱製紙)があり、こちらは種類も供給量も豊富かつハーネミューレに比べると安価ですので多く印刷したい方はハーネミューレに拘る必要も無いでしょうね。
ハーネミューレの用紙の種類と質感の比較
ハーネミューレのインクジェットアートペーパーは現在19種類あるそうですが、代表的な紙種をすべて試せるパッケージがあるので、まずはそちらからはじめてみましょう。
素材は基本的にはコットンかαセルロースが使用されて、コットン100%のものはフォトラグ、αセルロース100%のものはFineArtと名付けられています。
サンプル画像はこれです。
もう少し比較に最適な画像を選べばよかったのですが、暗い写真が好きなもので、シャドウがかなり多い画像ですみません。
黒つぶれはあまりありませんので、暗部のコントラストはよく見れると思います。
なお、プリンター設定がうまくいっておらず、厚い紙で印刷面が擦れてしまいました。
1枚300円くらいするのでこのままでご勘弁ください。笑
そして、検証が適当なのも許してほしい・・!部屋が電球色で色が見えないよという批判も甘んじて受け入れます。
しかし、一般的な家庭環境やギャラリーではこのような色が多いと思います。スポットライトを1灯当てています。
ICCプロファイルは公式で配布されておりますし、キャノンは純正で一部ハーネミューレ紙も販売しているほどで、ほぼ全種のプロファイルを配布もしています。
印刷設定はプリンタごとに異なりますので、下記のとおり設定しています。
https://www.hahnemuhle-jetgraph.jp/support/printer_view.html
参考までにピクトリコの普通の半光沢紙はこんな感じ。
やや硬質なザラつきがあります。
ナチュラルライン
ナチュラルラインは紙の素材に使用される材質を持続可能な植物を用いた環境保護を考慮して作られています。
アートは大量に使用するわけではありませんが、逆にその風合いが作品に合うこともあるかもしれません。
Bamboo バンブー
その名の通り竹素材で作られています。
質感はマットで、かなり癖の少ない画質になります。
マットファインアート
マット紙で、個性的な紙が多くラインナップされています。人物の名が付けられている個性的な紙が多いのも特徴のひとつです。
Photo Rag フォトラグ
恐らくハーネミューレの中で最も支持されている紙種です。
ラインナップされているマット紙の中では最も万能感の強い紙です。
購入する際は厚みの異なる2種類があるので、安いと思って買うとペラペラのものが届きますのでご注意ください。。
Photo Rag Bright White フォトラグブライトホワイト
フォトラグと比較してより紙の色が白いので、ハイコントラストな絵に良いとされています。
個人的にはフォトラグよりこちらのほうが好きかな?
Albrecht Durer アルブレヒトデューラー
古いドイツの画家の名前だそうです。
紙質はまさにキャンバスで抽象的なアート作品の印刷に最適です。
私はボケにフォーカス(言葉がおかしい)した作品も撮るので、絵画的になるこの紙は気に入ってストックしています。
裏表の判別が非常に困難で、裏面に印刷すると悲惨なことになります。パックに入っているものは裏面に丁寧に名前が書いてあるのでわかりやすくて良いです。
黒は潰れます。
Torchon トーション
独特なうねりのあるザラつき感の紙です。土塗り壁のような感じでしょうか?
そのまんまですが建物なんかすごくよく写りそうですし、このような風景でも面白いです。
マットの中では一番発色が良くて使いやすいように感じます。
William Turner ウイリアムターナー
こちらは画用紙のようなテクスチャーを持つ写真用紙です。
100%コットンベースで水彩画用紙のような風合いを持っているそうです。そして分厚い。
とにかく固くて粗さを感じます。もの感がすごいのですが、少しでもこすれると塗料がいなくなる、、笑
このあたりの使い分けはイメージの域を出ませんが、印象的な写真に加え、アートワークの複製や、写真作品に添付する作品証明書なんかにも最適だそうで、最も万能な紙質かもしれません。
German Etching ジャーマンエッチング
銅版画用紙のようなテクスチャーが特徴だそうです。αセルロース100%
ウイリアムターナーとかなり近い質感ですが、印刷面はややスムースです。
エッチングというのは中性から続く伝統的なもので銅板を用いた版画の手法だそうです。
あまり日本的には馴染みがなさそうな感じですね。
グロッシーファインアート
ラインナップの中では光沢紙に分類され、主にはバライタ調の紙になります。
しかし、アート紙なので実際の写真の高光沢や絹目のようなものではなく、あくまで艶のある天然素材の紙です。
Photo Rag Baryta フォトラグバライタ
コットン100%のバライタ調用紙です。
バライタの光沢感がより階調性を豊かにし、高画質に見せてくれます。
人物画や色物は勿論、階調豊かなモノクロでもバライタ系は非常におすすめです。
FineArt Baryta ファインアートバライタ
αセルロース100%のバライタ調用紙です。
特徴は殆ど上のフォトラグバライタと同じですが、テクスチャーの主張感や色の濃さが微妙に変わってきます。
強いて差をつけて表現するならば、フォトラグの方が繊細で、ファインアートの方が重厚感、こってり感があります。
FineArt Baryta Satin ファインアートバライタサテン
紙を見比べる限りでは、上のファインアートバライタとの違いは全くわかりませんが、プリントをすると印刷面にキラキラとサテングロスが現れます。
でもこれが実物を見てもらわないと伝わらない・・・。
ハーネミューレの中でも特に色の再現性と精細性があるのではないでしょうか。
私イチオシの紙です。
FineArt Pearl ファインアートパール
バライタ調とはやや異なる光沢面でパール調と表現されています。
バライタ同様、高い色再現が特徴で使いやすい紙と思います。
Photo Rag Satin フォトラグサテン
なぜこいつがグロッシーに分類されているのか不思議に思っていて、質感はマットに分類されてもおかしくないものです。
マットとして見ると色の再現性は素晴らしく黒も黒く移ります。
この紙はサテンですので、マット調の上にキラキラとサテングロスが乗っていますので、光沢感も感じるハイブリッド的な感じです。
そういった展示照明を含めてグロッシーなのでしょう。
マット調の質感を欲しつつ金属などの光沢感のある質感も取り入れたい場合にはこの紙が最適です。
アート紙に印刷するときの現像ポイント
プリンター、用紙、色々個性はあると思いますが、私が紙にプリントすることで気づいたデジタルディスプレイとの差について思う点を簡単にご紹介したいと思います。
色の見え方と明るさについてで、ディスプレイで見るとよく見えるようなSNSでよく見られる彩度MAX!!コントラストMAAAXXX!!みたいな写真をアート紙にプリントしてもしっくり来ません。
色の飽和、効果的でない白飛び黒つぶれはプリントしてみるとかなりイマイチな感じになり、特にファインアート紙は暗部はディスプレイで見たとおりになかなか印刷できません。
私はiMac 27inch のRetinaディスプレイで現像しているのですが、明るさについて印刷した実物と比べてみると輝度は最低レベルまで落としたくらいで同じような見え方になります。
明るい画面で現像した写真を印刷してみたら、暗っ!!となること間違いなしですので気をつけてください。
更に、プリントソフトについてもlightroomの純正機能で印刷したものと、Canon Print Studio Proというプラグイン経由で印刷したものでは同じデータでも少し結果が変わってくるんですよね。
なるべく色がベタッとしないように意識して中間色リッチに現像していくのがいいかなと思います。
こちらをテストでプリントしたいと思います。
今回はアルブレヒトデューラーにプリントするので、こんな感じで暗部は残しつつ、シャドウは持ち上げ気味にしてみました。
そして印刷結果がこんな感じ。画面で見るのと少しイメージが異なってくると思います。
なお余白については、額装時には重要になってきますが、10-30mm程度あれば良いと思います。
印刷をすると現像が変わって写真の撮り方が変わる
というわけでハーネミューレの用紙を一通り見ましたが、A4サイズについてはハーネミューレ一筋で暫くいってみようかなと思っています。
ピクトリコにもコットン100%やバライタ調のものがあり、正直比べても殆ど差はありませんでした。
しかし、あれもこれも手を出すよりは、使う用紙はある程度絞って固定することで写真の撮ることと現像に集中できるようになると思います。
そして、紙の厚みや質感、質量感というのも作品としては重要な要素なのだそうです。
ハーネミューレは言ってしまえば入手可能な範囲では一番高価な紙ですから、間違いありません。笑
そして、プリントを経験することで、またそれが現像そして撮影にまでフィードバックされてゆきます。
現代の写真の評価基軸はもはやデジタルデータをディスプレイで見る事が主流にはなっていますけども、この紙と向き合う経験は写真をやっていく上ではなくてはならないものなのだろうなと感じました。
それくらい反射光でみるプリントというものは受ける印象が異なりますが、これは印刷画面をここに載せても意味がないので、私のように写真のプリントは今まで無縁だったよと言う方はぜひ写真の展示会等で他の方が作った作品なんかを見に行かれてみてはどうかなと思っています。
プリントしたら額装も是非。
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