ポジフィルム(リバーサル)を自家現像する

こんにちは!前のめり(@maenomelife)です!

こちらの記事は現像液・薬品及び現像手順の紹介になります。

現像のための用具の準備は下記記事をご確認ください。

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【完全版】ネガフィルム・リバーサル フィルムの自家現像を始めたい方向けの手順と現像用具まとめ。 ※2019年に作成した当記事ですが、2年経ちフィルム環境も変わってきたのと、色々と知識もついてきましたので、大幅に内容を改変させて頂きます。   こんにちは!前のめ...

 

この記事では、カラーリバーサルフィルムの自家現像方法をご紹介します。

リバーサルフィルムは、ネガに比べ色被りを起こしやすく、特にフィルム銘柄によっても若干現像条件が変わってきます。

 

ですから、現像結果が安定するまでは失敗してもよいフィルムで試してみることをお勧めします。

 

2021年現在、カラーリバーサルフィルムは、

富士フイルム:Velvia50,Velvia100,Provia100

コダック:Ektachrome E100

上記の4本となりますがE100については現像した本数が少ないので、もう10本程度試した後に誤りがあれば追記予定です。

 

Contents

必要な薬液

○現像液

第一現像用:パピトール

第二現像用:オリエンタルカラー BAN-1R

上記が最も安価でお勧めですが、これ以外のカラーフィルム用、ペーパー用でも問題無く使用できます。

 

(BAN-1R代用可能品)

・CNL-N1Rカラーフィルム現像プロセス用発色現像液)

・エクタカラー発色現像液、スターター

コダック Kodak エクタカラー RA 発色現像補充液 RT (10L)

 

○漂白液

・CNL/BAN-2R

このうち2L分あれば十分なのですが、最小ロットは8Lです。

定期的にリフレッシュするか、知り合いの方と共同購入すると無駄がないかもしれません。(私は余っています・・)

 

○定着液

・スーパーフジフィックス

※他社フィクサー可

 

○その他薬品・添加剤

・クエン酸

停止液、PH調整に使用

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・精製水(水道水で問題ありませんが、パピトール濃縮液作成や、水道水のバラつきによる現像結果のブレを排除したい人は使用をお勧めします)

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・チオシアン酸カリウム(ロダンカリ)

第一現像液に添加します

アズワン AS ONE 試薬 チオシアン酸カリウム 2-3647-50 [A100809]

冷蔵庫で保管。

 

・苛性ソーダ

第二現像液に添加します

薬局にて入手(購入方法はググってください)

※防湿庫、冷蔵庫等の乾燥場所で保管。

 

・ドライウェル(使用は任意)

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富士フイルム
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・ブロムカリ(最初は必要なし)

漂白液の再生に用います。

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・メトールサン(最初は必要なし)

E100現像時第一現像液に添加すると現像結果が改善するようです。要検証。

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現像工程

1.第一現像液、第二現像液、漂白液、定着液を作る。

①第一現像液

○パピトール濃縮液の作り方

まず、事前にパピトールの濃縮液を作成します。

パピトールは1袋全量を溶解し4Lの2倍濃縮液を作成し保管、使用時に同量の水で希釈し使用します。

パピトール濃縮液はしばらく保管することになりますので、上記の精製水を使用すると劣化要因となる不純物が無いため長期的に安定します。)

 

40℃前後の水4Lを用意し、パピトール粉末を手順にのっとり順番に全量溶解していきます。

溶解後ポリビンに保管します。(1Lで4本、若しくは2Lで2本保管しておくと良いと思います。

 

*都度溶解したいという方は500mlにつき、A粉10.3g、B粉14.3gを計って溶解します。

 

○上記濃縮液を用いた第一現像液500mlの作り方

1.パピトール濃縮液250mlに加水にて500ml

2.ロダンカリ0.5-0.7gを溶解。

3.(省略可)現像フィルムがベルビアの場合→クエン酸2.0g程度を溶解(ガスが発生するので吸い込まないように)PH9.6程度に下げる

*ロダンカリは予め溶液として作成しておいても可、その場合は最初の加水量を減らして、最後に調整してください。

4.加温し、38℃に。

 

補足:第一現像液のPHを下げないとベルビアでは赤っぽくなる気がします。(試行回数がまだ少ないですが)プロビアはあまり変化がなさそうです。

逆にE100についてはPHを下げると青っぽくなります。

→ベルビア50,100,プロビアの場合はクエン酸を添加し、E100の場合は添加しない方法を取っています。

 

②第二現像液

*2021年現在BAN-1Rは画像のような3液タイプになっています。内容量は変更になる可能性があるので、画像のものと異なる場合には、500ml相当になるよう希釈量を計算してください。(原液に対して4倍希釈を想定)

1.ある程度(300ml程度)の38℃程度の水に、BAN-1Rのa液:16ml,b液4ml,c液5mlを溶解。

2.加水し、500mlに。

3.苛性ソーダ0.8-1.0g添加(PH12程度)

*苛性ソーダも予め水溶液として作成保管可(水酸化ナトリウム)

4.加温して38℃に

 

補足:PHが低いとマゼンタ被りを起こします。ただし、上げすぎても良くないようです。

 

*以前私がブログで紹介していた、フジ用フィルム現像液CNL-N1R(2液混合型)の場合、

原液のままでも使用できますが、勿体ないので希釈します。

カラーネガの場合では原液1:水4で問題ありませんが、リバーサルの場合あまり薄いと現像力不足で青っぽくなりますので状況に応じて濃度を濃くしてみてください。

1.ある程度の水に、A液50ml,B液50mlを溶解。

2.加水し、500mlに。

3.苛性ソーダを添加し、PHを12に。

4.加温し38℃に

 

③漂白液

BAN-2R原液(2L?入)をそのまま使用。

パウチされているので、ポリビンに入れ替えて、必要量のみ計量カップに出します。

20℃であれば加温不要です。

ある程度使用してくるとドロドロとした感じになり疲労してきます。

再生方法については下部で説明します。

 

④定着液

スーパーフジフィックス1:水2で希釈

こちらも加温は20℃以上であれば不要。

 

2.事前に準備しておいたリールを巻いたタンクに現像液を入れてプレ水洗。

水(できれば38℃)をタンクに入れ、軽く撹拌し排出。

(カラーネガもですが、リバーサルは特に乳剤面の薬品が非常に多く、現像液の劣化を早めるようです。1shotならば良いですが、使い回す場合には、プレ水洗をおすすめします。)

 

このように真っ青な水が出てきます。

 

3.第一現像液を注入し、撹拌する。

第一現像液(パピトール)を現像タンクに注ぎ、撹拌しながらおよそ6分。

 

4.水洗・停止液

停止液で中和し、停止液排出後(後でまた利用します)軽く水洗します。

(停止液を持ち越して第二現像液のPHを下げないため)

 

5.現像タンクの蓋を開け、リールを取り出しフィルムを引っ張り出し(反転露光)再び巻く

このようなモノクロネガの絵が現れます。

前工程の停止・水洗が不十分だとフィルムがヌルヌルしています。この状態で次工程に行くと良い結果が得られません。

リールから完全に取り外す必要は無く、フィルムを光に晒すことで反転露光という工程を行っています。

 

反転露光後、再びリールに巻きつけますが、プラスチックリールだと、フィルムが濡れていると巻くのにコツが要ります。ステンレスリールの方が楽です

 

6.第二現像液を注入し、撹拌する。

第二現像液を注入し、6分で撹拌から排出までを行います。

第二現像が終わると、このように真っ黒に。

 

7.停止・水洗

手順4同様です。

 

8.漂白液を注入し、撹拌する。

漂白液を注入し、撹拌します。

現像液のようなムラにはなりにくいので、ステンレスタンクであればこのように上下にたまに揺らしてあげながら5分反応させます。

 

漂白液の工程が終わると青いフィルムのベースカラーが見えてきます。

 

9.水洗

漂白液を次の液に持ち越さないように、軽くすすぎます。

 

10.定着液を注入し、撹拌する。

手順8同様に軽く撹拌しながら5分反応させます。

 

11.しっかり水洗、必要に応じてドライウェルを使用します。

 

12.乾燥

 

薬液の使用可能本数

第一、第二現像液は共に500mlで4本は現像できますが、保管に関しては影響が大きいと思いますので規定本数現像できなくても毎回新しいものを作り直して使用してください。(1回あたりの現像液代は100円以下です)

 

漂白液、定着液はほぼ無限に使用できます。

漂白液はある程度使用してくると、ドロドロとした液体になってきて疲労します。

その場合は、2Lに対してブロムカリ40gを添加し1時間程エアレーションすると回復します。

PHが上がってきた場合にはクエン酸を添加します。

 

定着液については、減った液量分をフジフィックス原液で補充していけば大丈夫です。

水洗で前工程の漂白液は流していますが、やはりある程度は持ち越してしまうので、真っ黒になってきたら全量作り直すと精神的に良いかもしれません。

 

カラーリバーサルが自家現像できると夢が広がる

カラーリバーサルフィルムといえば、デジタルカメラにも劣らない高精度の像を得られます。

特に中判のリバーサルは直接見ても楽しめます。

 

しかしリバーサルフィルムについては、基本的に現像に出すと1,2週間は戻ってきません。

基本的にどの店でも現像をしていないので、専門のラボかメーカーに送られるためです。

 

また、上記でも記載の通り、フィルム銘柄によってもラボによっては色転びが起きるところもあるそうです。

 

自分で、現像の色転びの癖をうまくコントロールできれば、ラボに出すよりもより良い結果を得られるようになるかもしれません。

 

モノクロやカラーネガに比べると、液数も多く、多くの薬品を用意しPHも気を使う必要があるためにかなりハードルが高いのも事実ですが、その分達成感はひとしおです。

ちなみにですが、今回使用した現像液は第二現像から行えばそのままカラーネガも現像できます。(別記事にて改めてまとめます)

 

是非試してみてください。

 

参考にさせて頂いたリバーサル自家現像パイオニアの方のサイト

http://kohno-family.jp/

 

また、松村カメラさんではこちらの手順とほぼ同じ方法で行うリバーサルフィルム現像ワークショップというものを行なっています。

相談にも優しく乗ってくださり、薬品も必要料を販売してくださるそうですので、私が分からないことは是非松村カメラさんへ。笑

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コメント

コメント一覧 (2件)

  • コメント失礼します。
    2022年2月、富士フィルムさんのパピトールが生産終了となりました。
    第一現像液の代用として他に何か使える薬品ご存じでしょうか。
    また宜しくお願い致します。

    • コメント頂きありがとうございます。
      掲載する情報が古く大変申し訳ありません。
      現状では、同じ印画紙用現像液である、イルフォードジャパンのSILVERCHROME BW PAPER DEVELOPER(174003)が良いかなと考えているのですが、しばらくポジの現像をしておらず試せていないのが正直なところです。
      濃度や時間は追い込む必要がありますが、他の方も同じ現像液で実施しているというお話は伺っています。

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